日本HP、Xeon E7・最大2TBメモリを搭載可能な4ソケットサーバー「DL580 G7」など

マルチソケットサーバーの価値を訴求、節電支援キャンペーンも


 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は12日、マルチソケット向けの最新CPU「Xeon E7シリーズ」を搭載可能な新サーバー3製品を発表した。4Uラック型の4ソケットサーバー「HP ProLiant DL580 G7」、4ソケットのサーバーブレード「同 BL680c G7」、2ソケットのサーバーブレード「同 BL620c G7」を同日より発売する。

 今回発表された3製品は、Xeon 7500番台/6500番台の後継となるXeon E7シリーズに対応しているが、前世代のXeon 7500番台/6500番台は最大8コアだったが、Xeon E7は最大10コアが搭載できるため、「Xeon 7500番台と比べてもソケットあたりで40%の性能向上を実現している」(エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバー・マーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 製品企画部の荒木裕介氏)。


4Uラック型の4ソケットサーバー「HP ProLiant DL580 G7」エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバー・マーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 製品企画部の荒木裕介氏。手に持つのは、2ソケットサーバーブレードの「BL620c G7」

 また、メモリの搭載量が大きく増加しているのも特長で、CPUごとに4つのメモリチャネルを実装し、最大64メモリスロットを実装。32GBメモリモジュールへの対応とあわせて、従来の2倍にあたる、最大2TBのメモリ搭載が可能になった。

 インターフェイスについては、BL620c G7が4ポート、BL680c G7が6ポートの10Gbps CNA(コンバージド・ネットワーク・アダプタ)を標準搭載。ネットワーク仮想化技術の「バーチャルコネクト」と併用することにより、ネットワークを細かく分割して利用することも可能で、柔軟な環境構築を可能にしている。

 価格は、DL580 G7が161万4900円から、BL620c G7が114万7650円から、BL680c G7が229万1100円から。

 「集約度の向上とコスト削減が求められる仮想デスクトップや、高い信頼性とパフォーマンスが求められる基幹系システムに適用できると考えている。これら2つの、相反するニーズに応えられるのが、今回の新製品だ」(荒木氏)。


新製品の特長新製品の適用範囲

 

4ソケット以上のサーバーによる価値を訴求

 実は、ワールドワイドではx86サーバーの出荷台数のうち、5%前後が4ソケット以上のサーバーというが、それに対して国内ではおおむね1%前後で推移しており、著しく低い。しかも採用している企業はほとんどが外資系企業や金融業などに偏っており、一般の企業ではほとんど採用されていないという。

 そこで日本HPでは、さまざまな性能向上などを達成した新製品により、「4ソケット以上のサーバーに対するお客さまの“固定観念”を覆したいと考えている」(エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバー・マーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 本部長の橘一徳氏)と話す。

 橘本部長が言及した“固定概念”とは、4ソケット以上のサーバー、あるいはマルチソケット向けCPUを採用したサーバーは、「コストが高い」「スケールアウトで十分」「高い拡張性は余分」といったものだ。しかし、「確かにサーバー単体を比べた場合、そうしたサーバーは高価」(橘本部長)ではあるものの、仮想化によるサーバーの集約度を考慮すると、TCOは逆転し、スケールアップによるメリットを十分に提供できるのだという。


4ソケット以上のサーバーに対する“固定観念”エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバー・マーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 本部長の橘一徳氏
サーバー集約によってTCO削減を達成できるという
メモリソケットが多いことは、安価なメモリモジュールを使えることにもつながるので、コスト削減にも効果的

 TCOが削減できるのは、複数のサーバーを1台に統合すると、保守料金、電力コスト、ソケット課金・筐体課金のソフトウェアライセンスを削減できるためだ。荒木氏は、2ソケットサーバー「BL460c G7」2台を1台のBL620c G7に統合すれば、TCOを26%削減できるというデータを示し、TCOの削減効果を強調する。

 しかし、TCOが削減されても、性能が十分でなければそもそもの統合ができない。この点について荒木氏は、VMwareのベンチマークであるVMmark 2.0の実行結果を示して説明する。それによると、2ソケットサーバーながらXeon E7を採用したBL620c G7と、Xeon 5600番台ベースの他社の2ソケットサーバーを比べた場合、BL620c G7は他社製サーバーの約2倍の仮想マシンを実行可能、との結果が出た。

 また、4ソケットサーバーのDL580 G7を用いると、さらに2倍の仮想マシンを実行できるとのことで、「クロック周波数は高くてもXeon 5600番台は最大6コア。仮想化の集約においては、豊富なCPUコアとメモリ容量が大きな効果を発揮する」(荒木氏)ことが、こうしたベンチマーク結果につながったという。

 あわせて、このように仮想化によるサーバー統合を行った場合は、性能だけでなく高い信頼性も求められるが、Xeon E7シリーズでは、AES暗号の暗号化・復号をCPUで行うための「AES-NI」命令や、「Intel トラステッド・エグゼキューション・テクノロジー(TXT)」に対応。さらに、2つのDRAMチップ障害時にもエラー修復できるDDDC(Double Device Data Correction)や、従来よりサポートするオンラインスペア、ミラーメモリといった機能も引き続きサポートするため、Xeon 5600番台と比べて高い可用性が提供できる。

 荒木氏はこうした点について、「サーバーを集約するとメモリの数が増えれば、トラブルの発生要因も増大する。新製品では、一般的な2ソケットサーバーに比べてメモリ周りの信頼性が大幅に向上している」と述べ、その価値を強調した。


他社の2ソケットサーバーと比べて、仮想マシンを多数収容できるという特にメモリ周りで高い信頼性を提供可能

 「4ソケットサーバーの価値をきちんと説明すれば、お客さまにも分かっていただけると思う。海外は4ソケット以上のサーバー比率が高いとはいっても全体の5%ほどなので、出荷の中心が今後も2ソケット以下のサーバーであるのは変わらないだろうが、海外並みに引き上げられるポテンシャルはあると思っている。個人的な目標としては、年内には4ソケットサーバーのシェアを、現在の30%前後から10ポイント程度引き上げたい」(橘本部長)。

節電をテーマにしたキャンペーンも

 なお日本HPでは、4ソケットサーバーなどによるサーバー統合での効果として、喫緊の課題となっている“節電”も大きく訴えたい考えで、5月12日から8月末まで、節電をテーマとした2つのキャンペーンも実施する。

 1つは「今すぐできる節電推進キャンペーン」で、消費電力の上限を制御するキャップ機能について、機能拡張ライセンスを5割引きで提供するほか、UPSも3割引きで販売する。さらに、サーバー買い替えで節電に取り組む企業を対象に、「サーバーリプレース節電応援キャンペーン」を実施し、80Plus Platinum/Gold電源の標準搭載モデルと関連オプションを3割引きで、ブレード筐体とI/O仮想化モジュールを5割引きでそれぞれ提供するとしている。


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