オーシャンブリッジ、企業向けソーシャルコラボツール「Zyncro」を提供開始

リアルタイムコラボレーションやファイル共有をセキュアに実現


Zyncroの特長

 株式会社オーシャンブリッジは10日、スペインのZyncro Techが開発した、クラウド型の企業向けソーシャルコラボレーションシステム「Zyncro(ジンクロ)」について、独占販売契約を締結し、日本で提供を開始した。

 Zyncroはクラウドベースで、Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアのリアルタイムコミュニケーションを行う機能、Dropboxのようなファイル共有、同期を行う機能を持つ。

 企業内での利用を想定し、セキュリティを保つためにグループを作成し、利用するメンバーを限定して情報共有を行ったり、グループごとにタスクを作成して、メンバーを割り当てて利用したりすることが可能となる。

 「最大の特徴がファイル共有機能。企業向けマイクロブログツールの多くがファイル共有機能を持っていないが、企業内のやり取りはテキストだけでは関係しない。メールの添付ファイルを使ってファイルが共有され、TwitterやFacebookでは実現が難しい。この店がカバーされているのがZyncroの最大の強み。ただし、スペインではすでにこの機能がリリースされているものの、日本では近日中にリリース予定となっている」(オーシャンブリッジの高山知朗社長)。


Zyncroの商品イメージ。Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアと、企業内のレガシーシステムをパソコンおよびスマートフォンから連携するZyncroのポジショニング
企業内でのセキュアなコラボレーションに向けた、さまざまな機能を備える

 ローカルフォルダとクラウド上のフォルダの自動同期、サブフォルダによるファイル分類、ダウンロードしなくてもファイルが閲覧できるオンラインビューアー、ファイル内テキストの全文検索などの機能を実装。利用するメンバーを部署・プロジェクトごとなど限定するグループ設置機能、社外メンバーの招待による企業間コラボレーションなどを実現できる。

 運用については、データをSSL、AES(256ビット)による暗号化、システム管理者によるユーザー権限管理なども行える。

 対応するデバイスは、PCだけでなく、iPhone、iPadなどからも利用可能で、外出先や在宅勤務での利用にも対応している。

 今回、日本語版の製品を提供するオーシャンブリッジは、2001年に設立した企業で、海外製ソフトウェアを日本に導入し、主に大企業をターゲットに商品を販売している。今回、Zyncroを日本で提供する狙いを、同社の高山社長は次のように説明する。

 「企業向けのマイクロブログは、外資系企業の製品を中心に国内で多数提供されている。背景としてメールによるビジネスコミュニケーションが破たんしつつあることをあげることができる。その一方で、私自身が初期の段階からブログやTwitterなどソーシャルサービスを利用し、個人的なやり取りはほとんどメールを利用しないようになっている。これがエンタープライズ領域で実現されると、ビジネスの場面でも仕事の効率が大幅に向上すると考えている。ただし、TwitterやFacebookをそのままビジネスに利用することはセキュリティなどの問題で難しい。そこでZyncroは大企業で利用できるセキュリティ面での強化、ファイル共有などを実現する」。


オーシャンブリッジ 代表取締役社長の高山知朗氏Zyncroの日本市場導入の背景の第一がビジネスにおけるメールの限界
Zyncroの日本市場導入の狙いとなるのが、企業がソーシャルネットワークを利用することでの可能性Zyncroの特長となるのがファイル共有と同期機能
Zyncro Techのルイス・フォントCEO

 このサービスを開発したZyncro Techは、2009年に設立した企業。Zyncroをはじめ4つのビジネスを手掛け、日本でのビジネス展開は今回で2件目となる。

 Zyncroも欧州を中心に、企業内の部門横断的なコラボレーションやプロジェクトマネジメント、企業と顧客を結ぶコミュニケーションとコラボレーション、大学内で学生と大学側の情報共有などに活用されている。

 ルイス・フォントCEOは、「企業にはイントラネットが整備されているが、これをソーシャルにどう活用するのかまだ答えが出てきていない。コカコーラのようにコンシューマ向けビジネスを展開する企業ではソーシャル活用事例が登場しているものの、BtoBビジネスを展開する企業には導入事例がまだほとんど出ていない」と、現状を指摘。

 その上で、「しかし、現代はプライベートでFacebookやTwitterを利用している若い従業員が会社に入社し、社内システムが古いことにびっくりするケースが出ている。企業に必要なセキュリティを確保しながら、ERPやCRM、BIなどをソーシャル化する仕組みが必要だ。BIなどはウォールに一覧で表示することで、これまでよりも効果的で、効率的な情報共有が可能となるだろう」と、企業内でのソーシャル活用が必要だと説明する。


Zyncroの活用シーン欧州での導入事例

 提供形態は、無償・有償を組み合わせたフリーミアムモデルを採用しており、5ユーザー、ストレージ容量1GBまでは無料で利用可能。それを越える場合は、1ユーザーあたり10GBのストレージ容量を含め、月額700円となる。また要望があれば、プライベートクラウド、オンプレミスでの提供にも対応する。

 オーシャンブリッジではこの製品で、2012年3月末までに100社、2200万円の売り上げを目標にするほか、2012年度は1億6000万円、2013年度は3億9000万円の売り上げを目標とする。


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(三浦 優子)
2011/5/10 14:36