節電や災害対策に有効、日本HPがIT機器の迅速な移設支援サービス


テクノロジーサービス事業統括 第一テクノロジーサポートビジネス推進統括本部 統括本部長の廣川賢氏
停電、節電への対策

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は4月20日、IT機器の迅速かつ円滑な移設を支援する「HP移設サービス」の提供を開始した。

 「HP移設サービス」は、顧客のIT機器を既存の設置場所から希望の設置先へ移設するサービスで、データセンター移設にともなう物理的なIT機器の移動だけでなく、ITシステム環境の移行も含めたITサービスの再稼働までをカバーしている。

 テクノロジーサービス事業統括 第一テクノロジーサポートビジネス推進統括本部 統括本部長の廣川賢氏は、今回のサービスを発表する市場背景について、「当社では、サーバー、ストレージ、ネットワークを始め、管理ソフトウェア、電力と冷却、データセンターサービス、さらにはファシリティ、保守サービスまで、幅広いソリューションポートフォリオをもっており、ITシステムのコンサルティングから構築・運用・保守までエンドトゥエンドでサービス提供を行っている。その中で、IT機器の移設案件についても数多く経験してきたが、先月の東日本大震災を境に、移設のニーズが大きく変わってきた」と指摘する。

 「従来は、企業の合併・買収にともなうITシステムの統合や、コスト削減を目的とした移設のニーズが中心だったが、直近では、停電・節電対策としてのIT機器の移設や、災害対策システム構築のためのシステム移行といったニーズが急増しつつある。しかも、これらの案件は、今後2~3カ月間での緊急な移設が求められ、移設完了時間が最重要項目となっている。そこで今回、これまで蓄積してきたノウハウを集約し、HP移設サービスとして改めてメニュー化することで、迅速なIT機器の移設を支援していく」(廣川氏)との考えを示した。

 サービスメニューとしては、大規模データセンターの移設に向けた「移設プランニングサービス」と、小規模から大規模までの移設実作業を実施する「移設サービス」を用意している。各サービスの価格は、「移設プランニングサービス」が157万5000円、「移設サービス」が52万5000円/ラックから。

 「移設プランニングサービス」では、複雑な工程を必要とする移設や、大規模なデータセンター移設を円滑に実施するための移設プランを策定。詳細な要件定義や作業分解図の作成を行うとともに、移設計画書を作成し、安全・効率的な移設サービスにおける手法を提示する。一方、「移設サービス」では、実際の移設作業を効率的に行うための作業計画を作成し、作業計画に基づく移設実働を提供する。また、不慮の事故への対応計画やレビューなど、顧客の要望に応じた各種支援も実施していく。

ITシステムの移設における課題HP移設サービスではすべてのステップを迅速、安全に実施

 テクノロジーサービス事業統括 第一テクノロジーサポートビジネス推進統括本部 アタッチビジネス開発推進本部 開発推進一部 担当マネージャーの菊岡英隆氏は、「HP移設サービス」のメリットについて、「IT機器の移設にあたって、多くの企業では、短期間での業務再開、複雑な手順確認と経験不足、万が一の故障や修理への対応、さらにはメーカーごとに依頼を行うのが面倒といった共通の課題を抱えている。今回のHP移設サービスでは、ITベンダーならではノウハウ、実績、人材を最大限に活用し、これらの課題をすべて解決するとともに、計画作成から保守サービスまで、IT機器の移設にかかわるあらゆるステップを迅速かつ安全に実施する」と説明した。

テクノロジーサービス事業統括 第一テクノロジーサポートビジネス推進統括本部 アタッチビジネス開発推進本部 開発推進一部 担当マネージャーの菊岡英隆氏

 さらに同社では、これらのサービスメニューに加え、顧客のニーズに応じた拡張サービスも提供していく予定。今回、拡張サービスの1つとして、他社製ハードウェアに対応した保守メンテナンスサービス「Integrated Multi Vender Service」を提供することを発表した。

 「Integrated Multi Vender Service」は、データセンター移設・統合後のマルチベンダー環境における保守窓口をHPコールセンターに集約し、障害切り分けから修復作業まで一括で実施するもの。これにより、障害時のシステム全体の機能停止時間を最小限に抑えることが可能となる。また、各ベンダーとの契約窓口も日本HPに一本化することで、契約更新業務などの負担を軽減し、マルチベンダー環境での大幅なコスト削減を実現することができる。

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(唐沢 正和)
2011/4/21 06:00