米Clarizen、SaaS型プロジェクト実行管理ソリューションの日本語版を発表

日本事務所を設立し、国内市場に本格参入へ


米Clarizen 共同創業者兼CEOのアビノーム・ノボグロドゥスキー氏

 米Clarizenは3月8日、日本事務所を開設し、同社の主力製品であるSaaS型プロジェクト実行管理ソリューション「Clarizen 5.0」日本語版を4月より提供開始することを発表した。あわせて、日本市場への本格参入に関する記者説明会を開催した。

 記者説明会で、Clarizen 共同創業者兼CEOのアビノーム・ノボグロドゥスキー氏は、「当社は、SaaS型プロジェクト実行管理ソリューションの分野で市場をリードしており、現在もハイペースで成長を続けている。2010年には、前年比400%の成長率を達成した。『Clarizen』の販売も好調で、リリースからまだ2年半でありながら、すでに1000社、1万ユーザーに利用されている。また、Webサイトから30日間のトライアル版を提供しているが、毎月3000社からトライアル版への申し込みがある」と、ワールドワイドでの事業概況を説明した。

「Clarizen 5.0」のポータル画面

 同社の提供する「Clarizen」は、プロジェクト実行管理のためのSaaS型ソフトウェア(Work eXecution Software)で、プロジェクトの計画と管理、そして実行を支援するという。すべての情報がリアルタイムで更新され、常に最新のデータに保たれているため、ビジネス目標とシンクロナイズされたチームコラボレーションとプロジェクト実行環境を整備することが可能。さらに、SaaS型のプラットフォームとして提供されるため、複雑なソフトウェアやハードウェアをインストールする必要がないのも大きな特徴となっている。

 また、シンプルで直感的なインターフェイスにより、すべてのスタッフが容易に利用することでき、進ちょく状況を常に把握しながらプロジェクトを進めることができる。管理者にとっては、リアルタイムな情報更新と強力なレポーティング機能、そしてダッシュボードやロードマップ機能により、すべてのプロセスを見渡すことが可能。将来を正確に予測し、計画を立てることができる。

 ノボグロドゥスキー氏は、「Clarizenは、既存のプロジェクト管理ソリューションとは異なる、新しいカテゴリのアプリケーション。仕事やプロジェクト、イニシアチブを早期完了させるためのリアルタイム・アプリケーションであり、導入したユーザー企業は、すぐにそのメリットを体感することができる。このことは、顧客企業の55%が導入後6か月以内にClarizenの利用範囲を拡大していることからも明らかだ」としている。

日本代表の東貴彦氏日本市場でのClarizenマーケティングモデル

 日本市場における販売戦略については、日本代表の東貴彦氏が説明した。東氏は、「Clarizenの販売に当たっては、日本市場でも米国と同様の販売モデルを展開する。Clarizenの日本語Webサイトを中心に、体験利用から小規模試験導入、そして部門導入へと広げていく。一方で、リセラーやCloudアグリゲーター、システムインテグレーターなどパートナー経由での販売も展開し、社外・海外拠点への導入や他システムとの連携・統合といった大規模プロジェクトも開拓していきたい」と意欲を見せた。

 あわせて、日本市場でのマーケティングモデルについて東氏は、「典型的なWebビジネスソリューションとしてのマーケティング展開を進めていく。具体的には、告知から体験・事例、トレーニング、無償利用、購入、拡張へと至るサイクルをサポートするためのさまざまなマーケティングプログラムを、パートナーとも連携しながら顧客に提供していく」との考えを示した。国内での販売目標は、2011年内に500社、2000ユーザーの獲得を目指すという。

 製品ラインアップは、「プロフェッショナル版」と「エンタープライズ版」の2種類を用意する。「プロフェッショナル版」は、リソース管理や時間・予算・経費の管理、そして問題点やポートフォリオの管理機能など、すべてのプロジェクト実行機能を備えている。一方、「エンタープライズ版」は、プロフェッショナル版に加え、自社に合わせてカスタマイズできる機能やAPIへのアクセス機能を備えている。税別価格は、「プロフェッショナル版」が月額2500円/ユーザー、「エンタープライズ版」が月額4000円/ユーザーとなる。

イサナドットネット 代表取締役の石谷伊左奈氏

 なお、今回の記者説明会では、国内での「Clarizen」導入実績として、スマートフォン向けアプリケーションの開発を手掛けるイサナドットネット株式会社の導入事例が紹介された。イサナドットネット 代表取締役の石谷伊左奈氏は、「Clarizen」を採用したポイントについて、「まず、マーケットや専門家から高い評価を得ていたことに注目した。機能面では、プロジェクト実行情報をリアルタイムで共有できる機能や、プロジェクト収支が自動計算できる機能が魅力だった」という。そして、導入後の効果として、「プロジェクト計画・実行情報を『Clarizen』に集約し、プロジェクト実行情報を組織内でリアルタイムで共有できるようになった。さらに、プロジェクト実行情報のとりまとめ作業がほぼゼロになった」と述べている。

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(唐沢 正和)
2011/3/9 09:30