日本オラクル、アプリケーションの集約と高速化を実現するマシン「Exalogic Elastic Cloud」
Oracle Exalogic Elastic Cloud |
米Oracle 製品管理担当副社長 モハメド・アフシャー氏 |
日本オラクル株式会社は24日、Java/非Javaアプリケーションの集約と高速化を実現するミドルウェア高速化マシン「Oracle Exalogic Elastic Cloud」(以下、Exalogic)のうち、x86ベースのハードウェアを利用した「Oracle Exalogic Elastic Cloud X2-2」(以下、Exalogic X2-2)を、国内で受注開始すると発表した。
Exalogicは、アプリケーションを実行するための環境を一元的に提供するソリューション。サーバー、InfiniBandベースのI/Oファブリック、SSDストレージといったハードウェアと、WebLogic Server、SolarisあるいはOracle Linuxといったソフトウェアを組み合わせて提供する。
アプリケーションを実行するためのシステムは、「システムごとにソフトウェアとハードウェアを調達し、1つずつ構築している」(米Oracle 製品管理担当副社長 モハメド・アフシャー氏)のが一般的で、異なる複数のシステムが存在することから、構築や管理に対して、IT部門の負担は相当に重いという。近年盛んになった仮想化技術の導入により、このうちハードウェアの乱立という問題は一部クリアできるが、それでもアプリケーションごとのパフォーマンス管理や運用管理をどうするか、といった問題は残ってしまう。
このような課題に対して、日本オラクルが示す解決策の1つが、すでに提供されているデータベースマシン「Exadata」やExalogicで、多数のデータベースやアプリケーションを集約できる上、従来よりも高速に実行することができる。また導入時についても、必要なハードウェア、ソフトウェアがあらかじめ統合・事前定義された形で提供されるので、コンポーネントの調達、インテグレーション、テストや導入作業といった負担を排除し、すぐにアプリケーションを実行できるようにしている。
特にExalogicでは、アプリケーションハードウェアコストを75%、作業コストを70%、データセンターコストを60%、ソフトウェアコストを30%、それぞれ削減できるとのこと。また性能面でも、すべてのOracle Fusion Middleware製品に最適化されているほか、WebLogic Server上で動作するJavaアプリケーションの処理性能を向上することが可能で、「控えめな数字で、Java EEアプリケーションの同時処理性能を10倍まで改善できる」(アフシャー氏)という。
環境構築のための工数とリスクを最小化できる | さまざまなコストを削減 | 劇的な性能向上も期待できるという |
Exalogicのラインアップとしては、x86ハードウェア+Oracle LinuxあるいはSolaris 11 ExpressのExalogic X2-2に加えて、米国で2010年12月に発表されたSPARC T3/Solarisベースの「Oracle Exalogic Elastic Cloud T3-1B」があるが、今回はこのうち、Exalogic X2-2の受注が可能になっている。規模としては、1/4ラック、1/2ラック、フルラックの製品が提供され、必要に応じて拡張可能。さらに、最大8ラックまでのマルチラック構成もサポートする。
対象は、「基幹システムでレガシーからオープンへ行きたいという企業や、関連企業を含めたグループ会社全体で運用環境を共有したいという大企業、また、不特定多数から大量のトランザクションが来る可能性のある企業など」(日本オラクル 代表執行役社長の遠藤隆雄氏)。またExalogicとExadataを組み合わせることにより、プライベートクラウドの柔軟な基盤が構築できるため、一般企業以外に、サービスプロバイダや、アウトソーシングを手掛ける事業者などにも提案していく考えを示している。
Exalogicの価格は構成によってさまざまに変わるが、ハードウェアだけの最低構成価格が4000万~5000万円程度するとのこと。
Exalogic X2-2のラインアップ | 日本オラクル 代表執行役社長の遠藤隆雄氏 |
ExalogicやExadataのような、ソフトウェア・ハードウェアの統合製品は、一般的にはアプライアンスの範ちゅうに入れられることが多い。しかし日本オラクル側では、「ソフトウェアをハードウェアにただ載せて出荷しているだけのアプライアンスとは明確に違うもの」(アフシャー氏)として、これを“エンジニアード・システム(Engineered Systems)”と呼んでいる。
この両者の違いは、用途に応じた最適化がなされているかどうか。Exalogicでは、InfiniBandの採用による高スループット・低遅延や、ロードバランシング、高速フェイルオーバーなどを提供する「Active GridLink」の導入など、さまざまな最適化の仕組みが盛り込まれており、アプライアンスとは一線を画するものだと、強くアピールしていた。
なお、日本オラクルの遠藤社長は、Exalogicの受注開始を受けて、「日本は、システム部門が一から独自のシステムを作り上げてきたが、そろそろ、ほかとは違うものを作る文化から、フレキシビリティなり、コストなり、スピードなりに重点を置いたシステム作りをする必要があるのではないか。車を一から作るユーザーがいないように、作るのではなく、使って成果を出すべき時代に注力すべき時代が来た」とコメント。
標準的なソフトウェア技術をそのまま使っているので、エンジニアのスキルがそのまま生かせるほか、新規に技術者を採用する場合も障壁が少ないといった点なども指摘して、そのメリットを強調していた。