アイズ、利用者専用のデスクトップを端末に配信するWebクライアントソリューション

ミラクル・リナックス、日本ベリサインとの協力で開発


 株式会社アイズは25日、ミラクル・リナックス株式会社、日本ベリサイン株式会社と協力し、デスクトップをカスタマイズして端末を専用化するWebクライアントソリューション「iZE Smart Desktop」を開発したと発表した。

アイズ 代表取締役社長の川邊浩氏「iZE Smart Desktop」とは

 「iZE Smart Desktop」は、サービスキーとしてUSBメモリを利用者に提供し、インターネットに接続されているPCやテレビなどの端末に挿入することで、カスタマイズされた独自のデスクトップをクラウドから呼び出して端末のディスプレイに表示できるサービス。表示されたデスクトップはWebポータルとして機能し、Webサイトとリンクしてページを表示させることができるという。また、サービスキーのUSBメモリは、異なる端末に挿入しても同じデスクトップが表示されるようになっている。

 アイズ 代表取締役社長の川邊浩氏は、このソリューションを開発した経緯について、「高齢者などの情報弱者の人たちに向けて、もっと簡単に情報を提供できる仕組みを作れないかと考えたのが、開発のきっかけだった。そして、USBメモリを端末に挿すという単純な行為に着目し、USBメモリをサービスキーにして、パソコンやテレビ、モバイルパッドなどのマルチデバイスに利用者専用のデスクトップを提供できれば、情報弱者の人たちでも簡単に情報を得られるようになると考えた。今回のソリューション提供で、ようやくその夢が叶った」と述べた。

「iZE Smart Desktop」のサービスフロー「iZE Smart Desktop」のサービスラインアップ

 サービスラインアップとしては、「Padタイプ」「STBタイプ」「PCタイプ」の3種の端末に対応する予定で、「Padタイプ」は、フルカスタマイズの専用端末を開発したい企業向けに新規専用端末とともにサービス提供する。また、「STBタイプ」は、ユーザーが所有するTVへの専用デスクトップ配信向け、「PCタイプ」は、ユーザーが所有するPCへの専用デスクトップ配信サービスとなっている。

 「iZE Smart Desktop」における各社の役割は、アイズがUSBメモリをサービスキーとしたWebクライアントソリューションの総合企画・開発、および専用デスクトップを生成・配信するためのクラウドシステムを提供する。また、ミラクル・リナックスがプラットフォームとなるミドルウェア技術とOSに関する技術を提供する。そして、日本ベリサインがなりすましなどによる不正アクセスを防止し、セキュリティを強化するワンタイムパスワード(OTP)認証ソリューション「ベリサイン アイデンティティ プロテクション(VIP)オーセンティケーションサービス」の技術を提供する。

ミラクル・リナックス Embedded System開発本部の豊島大朗氏iZE Smart DesktopとEMBrowserの関係

 今回の開発協力にあたって、ミラクル・リナックス Embedded System開発本部の豊島大朗氏は、「当社の最新技術であるデジタルサイネージ向けOS『Embedded MIRACLEプラットフォーム』の中から、ブラウザ機能『EMBrowser』とOSカーネルの2つの技術を抜き出して、今回のソリューションに活用した。ブラウザ機能では、Windows環境におけるデスクトップ制御を実現するために、専用ブラウザを新たに開発。また、OSカーネルを利用することで、専用機として高速起動を可能にするとともに、さらなるセキュリティの向上を実現するプラグインを提供する」としている。

日本ベリサイン IAS製品本部 本部長の坂尻浩孝氏VIPオーセンティケーションサービスのマルチデバイス機能

 日本ベリサイン IAS製品本部 本部長の坂尻浩孝氏は、「今回のソリューションを利用する中で、デバイス認証など高度なセキュリティが必要とされるシーンに対して、当社のOTP認証機能『VIPオーセンティケーションサービス』をクラウドモデルで提供する。これにより、サービス利用者はサーバーなどを別途用意することなく、短期間での導入が可能となる。また、マルチデバイスに対応することで、利用者が使用するワンタイムパスワードトークンを自由に選択できるようにしたほか、ソフトウェア開発キットによりアプリケーションにVIPソフトウェアトークンを読み込むことも可能とした。さらに、トークンシェアリングモデルによって、1つのトークンをVIP-Auth対応サイト間で共有できるようにしている」と説明した。

 今後、アイズでは「iZE Smart Desktop」を一般企業向けに提供し、その顧客などがもつ端末に企業専用のデスクトップを配信することと、企業が自社独自の専用端末を開発することの2分野を主軸にしたWebクライアントソリューションサービス事業を展開していく方針。

企業とユーザーを結ぶマルチデバイス・ダイレクトチャネル

 アイズの川邊浩氏は、「iZE Smart Desktop」のビジネスモデルについて、「このソリューションによって、Webサービスのユーザー層と利用シーンを拡大できると考えている。顧客を取り込みたい企業は、従来のように広告や宣材物の配布を行うことなく、USBメモリを配布するだけでWebサービスの利用を促すことができる。一方、ユーザーにとっては、URLの入力やメンバー登録の手間なく、USBメモリを挿入するだけでWebサービスにアクセスできるようになる。これにより、企業とユーザーを結ぶマルチデバイス・ダイレクトチャネルを実現していく」との考えを示した。

 なお、アイズでは、Webクライアントソリューションサービス事業の展開に際して、ミカサ商事株式会社と同社が提供するクラウドサービスと組み合わせた「iZE Smart Desktop」の販売分野で業務提携を行うことも発表した。

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(唐沢 正和)
2010/11/26 06:00