チェック・ポイントとクロスビームが協業強化、月額課金でMSSP向けFWサービスを提供


チェック・ポイントの代表取締役社長、杉山隆弘氏
クロスビームとの提携内容

 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社(以下、チェック・ポイント)とクロスビーム・システムズ・ジャパン株式会社(以下、クロスビーム)は7日、国内での協業体制を強化すると発表した。

 これに伴いチェック・ポイントでは、自社ソフトウェアとクロスビームのセキュリティプラットフォーム「Xシリーズ」のワンストップサービスを開始するほか、これを用いて、MSSP(マネージド・セキュリティ・サービスプロバイダ)向けに月額課金のファイアウォールソリューションを提供するという。

 チェック・ポイントの代表取締役社長、杉山隆弘氏は、「従来はクロスビームのハードウェアをクロスビームの代理店から、当社のライセンスを当社の代理店から購入する体制だったが、オールインワンでライセンスを搭載し、代理店ではなく当社自身のサポートをバンドルして市場に提供する。当社がOEM的な形で、すべてに責任を持つということ」と、今回の協業強化を説明。

 その上で、「キャリアクラスのハイエンド製品では、クロスビームのプラットフォームが、当社のソフトウェアをもっとも生かせるものだと認識し、バンドル販売を開始することになった」と、クロスビームを選択した理由を述べた。

 この販売体制確立によるメリットは、ユーザー側での構築・運用時の手間が削減されることにある。ワンストップでの購入が可能になるのはもちろん、ソフトウェアバージョンアップ時の検証などについても、チェック・ポイント側が責任を持つことで、負荷が軽減されるのだ。

 さらに、高性能なXシリーズを利用することで、ショートパケットを含めた厳しい環境で1800万pps、150Gbpsスループットの性能を持つファイアウォールソリューションを提供可能になるという。杉山社長は、この性能を生かす使い方について、「例えば、iPhoneなどのスマートフォンが増えることによって、膨大なショートパケットが発生しており、従来になかった高可用性と高い帯域が必要になっている」としたほか、ファイアウォールの集約もメリットして強調。

 「1つのブレードで250のゲートウェイが集約可能。言い換えれば、250のアプライアンスを1ブレードに集約できる。ハードウェア、ソフトウェアのコストも削減されるが、人件費などの運用経費削減によって、75%のコスト削減効果がある」として、ハイエンド領域での、こうしたファイアウォールの統合を日本で促進するとしている。

 価格は、Xシリーズのうち「X45」シャーシをベースとしたものが約2000万円、「X80」シャーシをベースとしたものが4000万円~5000万円程度になるとのこと。

 またチェック・ポイントでは、これらのXシリーズを用いた、月額課金制でのMSSP向けファイアウォール提供を、10月から開始すると発表した。MSSPのデータセンターにアプライアンスをレンタル提供する形式で、「すでに、グローバルでは多くの受注を獲得している」(チェック・ポイントの杉山社長)のだという。

 国内でも、MSSPからセキュリティサービスを受けている企業は多数あるが、一般的にはアプライアンスボックスを企業ネットワーク内に設置するケースが多いという。しかし、MSSPのデータセンターに大型アプライアンスを設置し、そこにサービス提供能力を集約することで、コスト効率の高いサービスが提供できるとして、チェック・ポイントではMSSPに対しメリットを訴求していく考えを示した。

 杉山社長は、「設備に対しては、投資でいくのか経費でいくのか、という議論は長いが、キャリアクラスのサービスでは、一気にエンドユーザーが増えることはなく、徐々に増えていくので、設備投資金額もなだらかに増えていく」として、月額課金制が向くという点を指摘。「メーカー自身のサポートにより(故障時の)影響の最小化につながるため、キャリアクラスに入っていくときには、24時間365日のサポートをメーカーが直接することが求められる。当社では、グローバルでは200名のサポート体制を整え、サービスを提供している」と述べ、この領域で十分に戦っていけるとアピールしている。

 「当社では、ネットワーク・ゲートウェイの初期にはソフトウェアライセンスで、第2世代ではアプライアンスで提供してきた。第3世代となるクラウドの要素は、仮想化と集約の2つ。VSX-1では集約を、VMware向けの仮想アプライアンスSecurity Gateway Virtual Editionでは仮想化を実現できている点が強みだ」(杉山社長)。

米Crossbeam 代表取締役兼CEOのマイク・ラファロ氏

 なお、米Crossbeam 代表取締役兼CEOのマイク・ラファロ氏は、チェック・ポイントとXシリーズを組み合わせたソリューションが、NTTコミュニケーションズに採用されたことを発表。「5カ所の異なるデータセンターから管理されていた50のシステムを、東京の1カ所に集約し、運用コストを削減した。ユニアデックスなどのローカルパートナーとの協業により、これからも日本市場には投資をしていく」と述べ、国内でのビジネス拡大に期待を示していた。

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