日本の平均接続速度は7.9Mbpsで世界3位、アカマイ調査
米Akamai Technologiesネットワーク担当副社長のNoam Freedman氏 |
アカマイ株式会社は22日、世界70カ国以上に分散配置された約7万3000台のサーバーによって構成されるコンテンツ配信ネットワーク(CDN)のデータをもとにした、2010年1月~3月のインターネット利用状況を公表した。
アカマイのネットワークが2010年1月~3月に認識したユニークIP数は4億8800万個で、国別では1位が米国(1億2935万個)、2位が中国(5772万個)、3位が日本(3322万個)、4位がドイツ(3101万個)、5位がフランス(2247万個)となった。
国別のユーザー平均接続速度では、1位が韓国(約12Mbps)、2位が香港(約9Mbps)、3位が日本(約7.9Mbps)、4位がルーマニア(約6.3Mbps)、5位がラトビア(約6.3Mbps)となった。
米Akamai Technologiesネットワーク担当副社長のNoam Freedman氏は、「平均接続速度を都市の単位で見ると、世界の上位100都市のうち日本が59都市を占めている」として、日本のブロードバンド普及状況は高水準にあると説明。また、トラフィック量も増大しており、特に最近の2年では日本は世界やアジア太平洋地域の伸びを上回っているとした。
各国ユーザーの平均接続速度(青)と最高接続速度(赤) | 世界の接続速度上位100都市のうち、日本が59都市を占める |
Freedman氏は、トラフィックが増大する要因の1つは「スポーツ中継などオンラインイベントの増加」にあり、ユーザーの接続速度が高速化するとともに、ストリーミングのビットレートも高くなっていると説明。また、最近の調査ではビットレートが高い動画の方がユーザーの視聴時間が長くなる傾向にあり、3.5Mbpsのストリーミング動画の方が、900kbpsのストリーミング動画よりもユーザーの視聴時間が2.5倍長かったとした。
最近の事例としてはサッカーのワールドカップ南アフリカ大会を挙げ、イベント関連では24社がアカマイのネットワークを使用していたが、うち8社はピーク時のトラフィックが100Gbps以上となり、最もトラフィック量が多かった顧客ではピーク時に600Gbpsを突破したという。全体ではピーク時に最大1.6Tbpsのトラフィックが発生しており、「2008年のオバマ大統領就任演説では1Tbpsのトラフィックが発生して話題となったが、今回のワールドカップでは1Tbps以上のトラフィックが発生した日が7日もあった」として、トラフィックの増大傾向はさらに続くだろうとした。
日本の過去5年間のトラフィックの伸び | W杯ではピーク時のトラフィックが1.6Tbpsに達した |
インダストリーマーケティング担当副社長のRavi Maira氏 |
インダストリーマーケティング担当副社長のRavi Maira氏は、eコマース分野の現状を説明。経済状況の悪化にも関わらず、eコマースは世界のどの地域でも成長を続けており、市場が成熟状態にある北米やヨーロッパに比べてその他の地域が伸びており、アジア太平洋地域では日本が市場規模では他の国を圧倒しているが、市場が成熟状態にあるため成長がやや鈍っており、中国とインドの急成長が目立つとした。
また、日本のeコマース市場でもオンラインゲームや音楽ダウンロードなどのデジタルコンテンツの販売が高い割合を占めているとして、アカマイのCDNとP2Pサービスを組み合わせた配信ソリューション「Akamai ESD for Commerce」の提供を開始したことを発表。アカマイのCDNを使用して大容量ファイルを配布しているオンラインゲームの事業者などに対して、P2P技術を併用することでより効率的なファイル配信を可能とするもので、米Aeria Gamesの導入事例では、BitTorrent DNAに比べてダウンロード完了率が13%向上したという。
日本のeコマースでも、オンラインゲームや音楽ダウンロードなどの割合は高い | 「Akamai ESD for Commerce」の導入で、BitTorrent DNAに比べてダウンロード完了率が13%向上したという |