ブルーコート、大幅な帯域削減を実現するキャリア向けキャッシュアプライアンス


マネージングディレクターのマット・ベネット氏

 ブルーコートシステムズ合同会社(以下、ブルーコート)は9日、キャリア向けのキャッシュ専用アプライアンス「Blue Coat CacheFlowアプライアンス5000シリーズ」(以下、CF5000)を日本市場に投入すると発表した。価格はオープンで、同日より出荷が開始される。

 「CF5000」は、サービスプロバイダなどのキャリアをターゲットとして、キャッシュ機能に特化した新アプライアンス製品。次世代キャッシング技術やクラウドベースのサービスを活用することで、急増する国際回線やモバイルバックホールの使用帯域を抑え、サービスプロバイダの回線コストを大幅に削減する。

 新製品を投入する背景について、同社 マネージングディレクターのマット・ベネット氏は、「現在、全世界のキャリアでユーザー数が拡大し、ユーザーの利用するコンテンツ量も爆発的に増加している。日本においても、2009年11月時点でダウンロード総量が約1.36Tビット/秒に達し、この1年間で約1.4倍に増えていることが総務省から発表されている。さらに、コンテンツの内容や種類も、Web 2.0系のリッチコンテンツやオンラインビデオなど大量の帯域を消費するコンテンツが急増し、サービスプロバイダの帯域コストに大きな影響を及ぼすようになってきた」と説明。こうしたサービスプロバイダの抱える課題にピンポイントで対応する製品として、キャッシュ専用のアプライアンス「CF5000」をリリースするという。

Blue Coat CacheFlowアプライアンス5000シリーズ

 「CF5000」では、独自の高度なキャッシング技術を採用することで、これまでキャッシュすることが困難といわれていたWeb 2.0コンテンツ、大容量ファイルやビデオなど動的なコンテンツをキャッシュ可能とした。これにより、動的に生成されるURLにあるコンテンツのキャッシングや配信が可能になるほか、「non-cacheable」(キャッシュ不能)とマーキングされたコンテンツにも対応できる。さらに、キャッシュ内容が配信元サーバーにあるコンテンツと同一であることを保証するため、コンテンツの鮮度を検証したうえでエンドユーザーにコンテンツを提供する。

 クラウド技術を活用したネットワークベースの自動アップデートサービス「Blue Coat CachePulse」と連携することで、キャッシングのルールと手法を最新の状態に保つインテリジェントなキャッシングを実現。コンテンツを常に効果的にキャッシングできると同時に、帯域削減を図ることが可能となる。また、ユーザーがCachePulseコミュニティに直接フィードバックを送ることで、同じ地域で新しいサイトや注目を浴びているサイトをリアルタイムに共有することもできる。

「Blue Coat CachePulse」の概要導入トポロジー

 ベネット氏は、「CF5000」の導入メリットとして、「5GbpsのHTTPトラフィックを処理し、毎月1Mビット/秒あたり50ドルのコストがかかっているサービスプロバイダの場合、『CF5000』を導入して帯域を50%削減できれば、5Gbpsのインフラで10Gbpsのトラフィックを処理できるようになる。この結果、毎月25万ドルのコストを削減でき、導入コストが250万ドルかかったとしても、12カ月以内に投資を回収できる」と、投資対効果に優れていることを強調した。

 また、コンプライアンスとセキュリティ対策に向けたオプション機能としてクラウドベースの「Blue Coat WebFilter」を内蔵。同機能を利用することで、ユーザー数6200万人以上のコミュニティによる監視サービス「Blue Coat WebPulse」を活用し、コンプライアンスの順守と悪意あるトラフィックによる脅威の防御が可能となる。さらに、「CF5000」では、コンテンツのフィルタリングとして、Internet Watch Foundationなどのサードパーティが提供するリストを使用できるだけでなく、ユーザー自身による許可リストやブロックリストのカスタマイズもサポートしている。

 アプライアンス本体には、高速ネットワークインフラ構築用にGigabit Ethernet(GbE)と10GbEの両インターフェイスを搭載。また、複数の「CF5000」を利用し、クラスタ化したキャッシュファームを構築することで、マルチギガビットレベルの要求にも対応できる。


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(唐沢 正和)
2010/6/9 17:29