Webアプリスイッチ「Citrix NetScaler MPX」に最大50Gbpsの新モデル

新OSや性能3倍の仮想アプライアンスも発表


 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)は8日、Webアプリケーション配信を最適化するロードバランサーの新OS「NetScaler 9.2」、および最上位ハードウェア「NetScaler MPX 17500/19500/21500」の3機種を発表した。最大50Gbpsのスループットを達成したことなどが特長。

 併せて、仮想アプライアンス版の「NetScaler VPX」でも、3Gbpsの最上位モデル「同-3000」の提供予定を明らかにした。NetScaler VPXでは、Citrix XenServer、VMware vSphereに加え、Microsoft Hyper-V上での動作にも対応する予定。


マルチコアCPUに対応した新OS

 NetScaler MPX/VPXは、Webアプリケーション配信を最適化するアプライアンス製品。その新OSとなるNetScaler 9.2では、マルチコアCPUに対応し、従来モデルの最大7倍に高速化。特にIPv6/SSL処理の性能が向上しているという。キャッシュ機能も強化し、64ビットキャッシュをサポート。2GB以上のメモリをキャッシュとして利用できる。

 加えて、VLAN、レイヤ2~4パラメータに基づいたルーティング機能も搭載。マルチテナントのクラウド環境をより構築しやすくした。このほか、新しいアプリケーションへの対応として、XML XPathやJSONに基づくスイッチング機能も搭載。セキュリティ面では、Webアプリケーションファイアウォールで、XMLデータの保護、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)防御に対応した。


最大50Gbpsの最上位ハードウェア

 ハードウェアでは、最上位モデルとしてNetScaler MPX 17500/19500/21500を提供。CPUにXeon X5680を採用し、同シリーズ最速の最大50Gbpsスループットを、わずか2Uサイズの筐体と650W電源装置で実現している。

 スループットは、NetScaler MPX 17500が最大20Gbps、同19500が最大35Gbps、同21500が最大50Gbps。これらは同一ハードウェアで提供され、利用分だけを支払うコンセプト「Pay-as-You-Grow」に従ったライセンスモデルを採用する。これにより、トラフィックが増大した時点で、下位モデルから上位モデルへ、ライセンスのアップグレードのみで拡張できる。

 価格はいずれもオープン。

新製品は右上の3モデル。長方形で囲まれた製品間で「Pay-as-You-Grow」が可能新モデルの主なスペック



仮想アプライアンスでも最大スループットを3倍に

マーケティング部 シニアプロダクトマーケティングマネージャーの的場謙一郎氏

 一方、NetScaler VPXでも、最上位モデルを提供する予定。ベアメタルハイパーバイザー上に実装される仮想アプライアンス版で、2009年に10Mbps、200Mbps、1Gbpsの3モデルを発表しているが、これに加えて、3Gbpsの最上位モデルを発表した。提供開始は、2010年後半となる見込み。NetScaler MPX同様、「Pay-as-You-Grow」を採用し、下位モデルのユーザーは必要に応じて、最上位モデルへライセンスアップグレードできる。

 対応仮想環境に関しては、2010年後半のリリース時点で、現在のCitrix XenServer、VMware vSphereに加え、Microsoft Hyper-Vにも対応する予定。加えて、SharePoint 2010、Exchange Server 2010などMicrosoftの主要エンタープライズアプリケーションにも対応し、アプリケーション固有にNetScalerを設定できる「Citrix AppExpert」ポリシーマネージャーとともに提供する。Microsoft System Centerにも対応するため、Hyper-V上で動作するNetScaler VPXを「System Center Operations Manager」や「System Center Virtual Machine Manager」を利用してシームレスに管理できる。

 さらに今後の可能性として、「NetScaler VPXが最大15Gbpsまでスケールアップすることを実証した」とマーケティング部 シニアプロダクトマーケティングマネージャーの的場謙一郎氏は話す。SR-IOV(Single Root I/O Virtualization)を実装したインテルVTを使用して達成したもので、「従来であればハードウェアが必要とされる性能でも仮想アプライアンスで実現可能であることを示した。マルチテナントのクラウド環境において、さらなる柔軟性が期待できる」としている。


一時的なトラフィック増大に対応する新ライセンス

 このほか新ライセンスとして、「Burst Pack」ライセンスを提供。「Pay-as-You-Grow」課金モデルを応用し、ライセンスの有効化から90日の間、一時的に上位モデルに切り替えて急激なトラフィック増大に対処できる。

 シトリックスでは、すべてがクラウドに移行するわけではないと考え、各ワークロードの特性を重視。「ユーザー数の急増、Webアプリケーションの複雑化、脅威の進化などに合わせ、クラウドの柔軟性とセキュリティ・管理性を両立した環境を実現していく方針。



関連情報