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NEC、明文化されていない危険の予兆を捉えて改善アドバイスを自動生成するAI技術を開発
2026年3月23日 10:00
日本電気株式会社(以下、NEC)は19日、AIやLLM(大規模言語モデル)を活用した映像分析において、明文化されていない危険の予兆を捉え、改善アドバイスを自動生成する技術を世界で初めて開発したと発表した。
開発した技術は、物流・運送や製造などの現場映像を分析し、明文化されていない危険の予兆を捉え、根拠となる映像シーンを示し、危険回避に役立つアドバイスを文章で自動生成する。これにより、物流業のドライバー向け安全運転指導や、製造業の現場作業指導などにおいて、指導の標準化や属人化の解消、業務改善を実現し、効率的な人材育成のDXを推進する。NECは、2026年度中に同技術を実用化することを目指す。
NECは技術開発の背景として、人手不足や労働市場の流動化、事業環境の変化により、企業における人材育成の難度が高まっているが、多様な人材が短期間で必要なスキルを身に付け、安全かつ安定した品質で業務を遂行できるようにするためには、限られたリソースの中で、効率的かつ体系的な育成体制をいかに構築するかが重要だと説明する。また、人材育成に用いられる教本やマニュアルだけでは、業務上の判断や注意点を十分に伝えきれない場合が多く、実際の業務経験を通じて習得されるケースも多く、人材の即戦力化には多くの時間を要するという課題がある。
NECは、こうした課題の解決に向けて、映像認識AIやLLMの研究開発で培ってきた知見を生かし、明文化されていない危険の予兆を捉えて改善アドバイスを自動生成する技術を開発した。この技術により、顕在化した危険な状況だけでなく、それに限定されない問題発生に関係する予兆や具体的な改善アドバイスを明文化することで、習熟度を問わず、安全で効率的なスキル習得を支援する。
開発した技術では、NEC独自の映像認識AIとLLMを活用し、作業内容についてフィードバックを求めるプロンプトを入力すると、作業映像からプロンプトに明記されたシーンだけでなく、映像上の状況変化を捉え、危険回避につながる判断や動作など、プロンプトに明記されていないシーンも含めて時系列で可視化する。AIは無関係なシーンを排除し、作業の流れに関係する判断や重要な確認動作も逃さず抽出する。
例えば、物流・運送現場のドライバーによる「路面のダイヤマークなどから前方の横断歩道を察知し、適切に減速する危険回避の動き」や、製造現場の作業者による「部品の些細な欠陥を疑い、重大な故障につながる破断リスクをいち早く察知するための確認動作」など、一連のシーンを漏れなく把握できる。こうして得られた認識結果をLLMで分析することで、人材育成の現場において、利用者が作業の改善アドバイスを求めた際に、プロンプトに明記された直接的な危険の原因だけでなく、直接的には示されていないものの、問題発生に関係するシーンも特定し、その内容に応じた改善提案の文章を自動生成できる。
技術で用いたAIは視覚言語モデル(VLM)を活用しており、あらかじめ現場映像データを使った作業内容の定義付けや、専門知識を体系化して学習させる必要がなく、多様な映像を詳細かつ時系列で認識できる点を特長としている。これにより、現場の担当者は特別な準備を行うことなく、安全指導や作業指導に本技術を容易に導入できる。また、AIが分析・生成した改善アドバイスは、根拠となる映像シーンとともに提示されるため、限られた時間でも効率的な指導や振り返りができる。
NECは、技術の開発を通じて、物流業のドライバー向け安全運転指導や製造業の現場作業指導など、現場におけるスキルや経験の属人化を解消し、人材育成のDXに貢献するとしている。

