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日立とNTTドコモビジネス、600km超離れたデータセンター間で災害発生時にシステムの完全自動復旧を実現する共同実証

 株式会社日立製作所(以下、日立)、日立ヴァンタラ株式会社、NTTドコモビジネス株式会社の3社は28日、レッドハット株式会社および日本オラクル株式会社の協力のもと、NTTドコモビジネスの低遅延・高速なネットワークIOWN APNを活用した600kmを超えるデータセンター間で広域災害対策が可能なシステム構成の共同実証を実施し、データ保全性を維持して業務継続ができることを世界で初めて確認したと発表した。

 実証では、日立のストレージ仮想化技術とIOWN APNを組み合わせた長距離データ連携ソリューション「Borderless Data Share(以下、BDS)」に、レッドハットの「Red Hat OpenShift Virtualization」を組み合わせ、インフラからアプリケーションに至る実機環境を構築した。これにより、障害検知から業務再開までの全自動復旧を可能にし、障害発生時の業務停止時間を最小限に抑え、事業継続性の向上に貢献できることを検証した。

災害発生時に完全自動復旧するアプリケーションを含めた統合環境の実証構成イメージ

 3社は、激甚災害の増加やサイバー攻撃の高度化・巧妙化に伴い、遠隔地間でリアルタイムにデータを同期しておくことで、災害時などでもデータを失わず、早期に業務を再開できる事業継続の確保への関心が高まっていると説明する。また、ITコストの増加や仮想化基盤の老朽化などにより、仮想化基盤の見直しやコンテナ技術を活用したシステム基盤への移行が進み、アプリケーションを含めたシステム全体を柔軟かつ効率的に運用できる環境への需要が高まっているという。

 一方で、データ同期ができても、仮想化基盤、OS、アプリケーションまでを一気通貫で自動復旧させる仕組みは、システム全体の連動が複雑なため構築が困難だった。また、このような新しい基盤へ移行・導入するためには、システム復旧の目標時間(RTO)やデータ復旧の目標地点(RPO)に合わせた複雑な設計や、長距離通信環境に応じた性能調整など、高度な専門知識が必要となり、導入の負担となっていた。

 実証では、ミッションクリティカルなシステムの要件を満たすため、ストレージ、仮想化基盤、データベースを組み合わせた実機環境を構築した。基盤には、従来の仮想化環境からの移行を見据え、日立ヴァンタラのストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform One Block(以下、VSP One Block)」とRed Hat OpenShift Virtualizationを統合したハイブリッドクラウド環境を採用した。さらに、Oracle AI Databaseをデータベース層として用い、災害対策構成を検証した。

 主サイトで障害が発生した際に、「Red Hat OpenShift」の高可用化機能からの要求により、日立ヴァンタラの「Hitachi Storage Plug-in for Containers」が即座に連動し、障害の検知から副サイトへの切り替え、OSやデータベースの起動までの自動化を検証した。

 実証では、システムが稼働する主サイトのシステム停止を想定し、副サイトへ切り替えた後、業務を再開するまでの時間と、データ保全性などを評価した。

 通常、今回の実証で採用したコールドスタンバイ構成では、数秒で完了するストレージ切り替えの後、OSやデータベースの起動に時間を要する。そこで、Oracle AI Databaseの起動・リカバリー処理を、データの一貫性を維持したまま2分弱で完了させるなど、各プロセスを効率化した結果、システム全体として約10分での早期業務再開を実現した。これは、ミッションクリティカルシステムで求められる高い業務継続性の要件に応える水準で、特に、OSからアプリケーションまで一気通貫での自動切り替えにより、実用レベルでの業務再開を確認した。

 BDSとOracle AI Databaseを連携させることで、システム切り替え後もデータの一貫性を維持しながら、副サイトでデータベースの稼働を再開できることを確認した。また、ストレージからデータベース、アプリケーションまで、システム全体でデータ保全性を維持できることを確認した。主サイトが停止した場合でも、データの一貫性を保った状態で副サイトから業務を継続できることを実証した。

 今回の実証により、従来は通信遅延の影響から構築が難しかった600kmを超える遠隔地間において、IOWN APNの低遅延ネットワークを活用することで、Red Hat OpenShift上で稼働するマイクロサービス間のリアルタイム連携の実現性を確認した。これにより、遠隔地に分散したシステムを一体的に運用できる見通しを得るとともに、災害対策を考慮したコンテナアプリケーション基盤の適用可能性を実証した。

 各社は、今回の実証で得られた知見をBDSの強化につなげ、金融分野をはじめとするミッションクリティカルな領域への適用拡大を進めていく。パートナー企業との連携を深め、事業継続を支える実用的な災害対策ソリューションの提供を目指すとともに、日立とNTTドコモビジネスのデータ基盤サービスへの適用も視野に入れ、幅広い顧客に展開する。加えて、BDSのサイバーレジリエンス機能と、実証の結果であるリアルタイムデータ同期によるデータ保全を組み合わせることで、サイバー攻撃への備えとしても活用し、セキュリティ用途への適用も拡大していく。

 さらに、災害時の事業継続にとどまらず、平常時においてもBDSを活用したワークロードシフトの実現を目指す。リアルタイムに同期されたデータを基盤に、電力供給やデータセンターの稼働状況に応じて処理を実行する場所を柔軟に切り替えることで最適な運用を可能とし、「ワットビット連携」構想が掲げる持続可能なデジタル社会の実現に貢献していくとしている。