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Red Hat、AIワークロードの高速化に向けた機能などを追加した「Red Hat OpenShift 4.20」を提供開始

 米Red Hatは現地時間11日、Kubernetesをベースとしたハイブリッドクラウドアプリケーションプラットフォームの最新版「Red Hat OpenShift 4.20」の一般提供を開始した。

 Red Hat OpenShift 4.20では、AIワークロードの高速化や、コアプラットフォームのセキュリティの強化、データセンターからパブリッククラウド、エッジに至るまで一貫した仮想化戦略の強化を実現する新機能を導入した。

 AIワークロードの高速化に向けては、Red Hat OpenShift 4.20は、AIプロジェクトの実稼働環境への移行を加速し、より迅速かつ確実に実行できるように支援する。新機能は、複雑なAIワークロードのデプロイと管理を効率化し、スケーリングと管理を容易にするよう設計されている。

 例えば、AIワークロード向けLeaderWorkerSet(LWS) APIは、自動化されたオーケストレーションとスケーリングにより、大規模な分散型AIワークロードの管理を簡素化する。AIワークロード向けのイメージボリュームソースを活用することでデプロイ時間を大幅に短縮し、アプリケーションコンテナを再構築することなく、わずか数分で新規モデルを統合できる。これらの機能により、Red Hat OpenShift AIやその他のAIプラットフォームにおける実験段階から実稼働環境への移行が容易になり、スムーズな移行を支援する。さらに、Model Context Protocol(MCP)により、Visual Studio Codeなどの開発者ツールを介したクラスター管理を実現する。

 また、新バージョンではコアプラットフォームの運用柔軟性をさらに向上し、Red Hat OpenShift Platform Plusのセキュリティ機能を強化した。これには、Red Hat Advanced Cluster Security 4.9の一般提供開始と、Red Hat Trusted Artifact SignerおよびRed Hat Trusted Profile Analyzerの機能強化が含まれており、顧客がセキュリティデータをより簡単に管理・分析できるよう支援する。さらに、2025年後半のリリースを予定しているZero Trust Workload Identity Managerが、マシンと人間の両方を対象としたID認証を提供する。

 制御とIDに関する追加機能のうち、ID管理の柔軟性と制御性に向けては、Bring-your-own OpenID Connect(BYOIDC)により、顧客は既存のOpenID Connect(OIDC)インフラを使用でき、ユーザーデータの制御性が強化される。

 Red Hat OpenShift Service Meshの「サイドカーレス」アンビエントモードにより、ポッド間のmTLS暗号化、IDベースのトラフィックポリシー、可観測性などを実現するコストを削減し、運用の複雑さやリソースのオーバーヘッドを低減する。

 クラスター全体のサービスによる外部シークレット管理の簡素化では、External Secrets Operator(ESO)が、外部シークレット管理システムから取得したシークレットのライフサイクル管理を提供することで、セキュリティを向上させる。

 さらに、小規模なフットプリントで高可用性を実現するため、Two-Node OpenShift with Arbiterが、新たな高可用性フォームファクターを実現し、レジリエンスを損なうことなくインフラのコストを削減する。

 OVN-KubernetesのBorder Gateway Protocol(BGP)は、OpenShiftと外部ネットワーク・ファブリック間の継続的なルート交換を可能にし、ネットワークの変更、VMの移行、フェイルオーバーイベントに対して迅速に適応できるようになる。

 また、Red HatはRed Hat OpenShift Virtualizationの最適化を継続しており、顧客が単一プラットフォームから仮想マシン(VM)をコンテナやクラウドネイティブアプリケーションとともに管理できるようにしていると説明している。CPU負荷を考慮したリバランス機能とArmサポートの追加によって、仮想化ワークロードのパフォーマンスとリソース利用率が向上するとしている。

 さらに、ハイブリッドクラウドサポートの強化により、Red Hat OpenShift VirtualizationがOracle Cloud上のベアメタルデプロイメントへと拡大され、インフラとデータ配置をより細かく制御できるようになる。また、ストレージオフロード機能を強化した仮想化移行ツールキットにより、既存のストレージリソースを介したレガシー仮想化ソリューションからOpenShift VirtualizationへのVM移行を加速する。