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JR東海、超電導リニア機械設備の保全業務でデータ連携を実現する機械運用システムをCTCと開発
2025年10月14日 10:00
東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)は10日、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)の支援を受けながら開発してきた、超電導リニア機械設備の保全業務におけるデータ連携を実現する機械運用システム(MOS:Machine Operating System)の状況について公表した。
開発では、超電導リニア機械設備の保全を効率的かつ高品質に実現するため、ローコード開発基盤「OutSystems」と、検査設備管理ソフトウェア「SAP EAM」および帳票ソフトウェア「i-Reporter」を連携させたシステムを構築した。SAP EAMとi-Reporter、OutSystemsを連携したシステム構築は、国内初の取り組みだという。
また、一部の機械設備についてシステム構築が完了したため、2025年秋に山梨リニア実験線で運用開始した。
JR東海は、リニア中央新幹線において、データに基づく機械設備の点検・保全業務の効率化や品質向上を実現するために、データ連携アプリケーションの導入を検討してきた。
リニア中央新幹線の開業に向けた業務の変化にも対応しつつ、進歩が著しいICT分野の技術を柔軟かつ迅速にシステムに機能追加・変更ができるようにすることで、効率的な運営体制の実現を目指している。また、その実現のため、OutSystemsを活用したアジャイル開発によりシステムの内製化に取り組むことで、鉄道事業の知見とともにシステム開発にも精通した人材の育成を推進している。
開発したアプリケーションは、SAP EAMとi-Reporterを連携し、OutSystems上で定期検査結果や機械設備の不具合事象を管理する。定期検査の一部を機械設備のデータに基づき実施し、検査結果を帳票に自動で反映する。生成AIが定期検査計画を策定するとともに、作業者への作業指示を自動で作成する。
機械運用システム(MOS)は、山梨リニア実験線で超電導リニア機械設備の保全に関するデータを連携させる。定期検査の一部をデータに基づき実施して、電子帳票に自動反映し、保全業務を効率化する。また、生成AIにより検査計画を策定し、作業者への作業指示を自動で作成する。
システム開発は、リニア機械設備の保全に精通したJR東海の技術者が、CTCから技術指導を受けながら進めた。CTCは、2015年からOutSystemsを取り扱っており、大規模システムの構築・保守・教育などの豊富な実績を生かして、JR東海へのOutSystemsの導入支援およびインフラ環境の整備も担当した。
システムのアジャイル開発に向け、JR東海とCTCで役割分担をしながらシステム開発体制を構築し、JR東海から開発者を選任し、CTCの支援を受けながらアプリケーションを実装した。
今後は、山梨リニア実験線で運用を開始するMOSについて、対象の機械設備を順次拡大するとともに、システムのブラッシュアップを実施していくとしている。