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Cogent LabsとNXワンビシアーカイブズ、業務自動化サービスの展開で資本業務提携

最先端AI技術と人によるオペレーションを融合した高信頼サービスを提供

 株式会社Cogent Labs(コージェントラボ)と株式会社NXワンビシアーカイブズは2日、業務自動化サービスの展開に向けた資本業務提携を締結したことを発表した。協業サービスの第一弾として、文書の自動データ化サービス「COGENT AI SmartRead PLUS+」の提供を開始する。同日に開催された記者発表会では、資本業務提携の背景および新サービスの概要などについて説明した。

写真左から:NXワンビシアーカイブズ 代表取締役社長の高橋豊氏、Cogent Labs 代表取締役社長 CEOのエリック・秀幸・ホワイトウェイ氏

 Cogent Labsは、“AIによって生産性を高め、人の可能性を解き放つ。”というミッションのもと2014年に設立。文書の処理プロセスにおける最先端のAI技術を強みとし、その研究開発から社会実装まで一貫して手掛けている。紙や電子文書のような非構造化データを、活用しやすい構造化データへと変換するソリューションを提供し、多くの顧客の業務における生産性向上に大きく貢献している。

 一方、NXワンビシアーカイブズは、日本初の情報記録専門保管会社として1966年に設立。情報資産の管理・活用において金融機関や官公庁での実績も多く、高度なセキュリティ環境でのオペレーションを強みとしている。AIだけでは十分に対応できない、またはAIでは代替できない業務領域に対して、これまで蓄積してきたノウハウを生かし、IT技術と調和させながら総合的なサービスとして提供することを目指している。

 発表会であいさつしたNXワンビシアーカイブズ 代表取締役社長の高橋豊氏は、Cogent Labsと資本業務提携を締結した背景について、「AIの進化によって業務の自動化が加速しているが、信頼できる情報・業務処理の自動化を実現するためには、AIを導入するだけでなく、人間による確認・補正プロセスを組み合わせることが重要になる。今回の資本業務提携により、Cogent Labsの最先端AI技術と当社のオペレーションサービスを融合させることで、信頼性の高い真の業務自動化を実現できると確信している。当社とCogent Labsは、これまでにも協業による実績を多く作ってきたが、今回の資本業務提携による新たな自動化サービスの展開には大きな将来性を感じている」と述べた。

NXワンビシアーカイブズ 代表取締役社長の高橋豊氏

 続いてあいさつしたCogent Labs 代表取締役社長 CEOのエリック・秀幸・ホワイトウェイ氏は、「日本は今、『労働力不足』という大きな社会課題に直面している。この課題を解決するには、AIを業務に本格適用し、生産性を大幅に向上させることが必要になる。しかし、業務の自動化においては、AIの導入だけでは不十分であり、精度と信頼性を確保することが求められる。そこで今回、NXワンビシアーカイブズとのパートナーシップにより、顧客が安心して頼れる『Human In The Loop』を取り入れた『Cogent AIプラットフォーム』を構築し、その最初のAIサービスとして『COGENT AI SmartRead PLUS+』をリリースする。業務自動化と信頼性を組み合わせた新サービスを通じて、これまで顧客のAI導入を阻んできた障壁を取り除いていく」と、新たな協業展開への意欲を語った。

Cogent Labs 代表取締役社長 CEOのエリック・秀幸・ホワイトウェイ氏

 今回の協業による具体的な取り組みとしては、Cogent Labsの最先端AI技術と、NXワンビシアーカイブズが持つ堅牢なセキュリティ環境および実績豊富なオペレーションを融合し、「COGENT AIプラットフォーム」においてさまざまな自動化サービスを展開していく。

「COGENT AIプラットフォーム」の概要

 Cogent Labs 常務執行役員 CTOのティエリ ソスビ氏は、「業務を自動化するにあたっては非常に高い精度のサービスが必要となるが、AIだけでこれを達成するのは難しいのが実情。『COGENT AIプラットフォーム』では、最先端AI技術に加え、業務に精通したオペレーターが監視・確認によってプロセスを補完するという『Human In The Loop』の設計思想を取り入れており、人による監督のもとでAI OCRによる仕分け・読み取りを行うことで、信頼度が高く、すぐに業務に活用可能なデータを提供する。まずは、文書情報の抽出業務から自動化サービスを提供し、突合・照合業務など自動化業務を順次追加していく」と説明した。

Cogent Labs 常務執行役員 CTOのティエリ ソスビ氏

 また、NXワンビシアーカイブズ 取締役常務執行役員の井戸賢次氏は、協業の将来展望について、「当社は、高度なセキュリティ体制を備えたファシリティとして、災害・情報漏洩対策を施した情報管理センターや、アナログ・デジタルデータのセキュアな取り扱いが可能な設備を保有するとともに、セキュリティをより強固なものにする業務運営・人材教育にも取り組んでいる。AI活用時代に向けた今後の協業展開としては、こうした当社の強みを生かし、デジタルで代用可能な業務を見極めるとともに、人間からのフィードバックによるAI技術の進化を促進していく。また、人間でなければできない業務に人的リソースをシフトし、人間の新たな可能性を発見、開発していく」との考えを示した。

NXワンビシアーカイブズ 取締役常務執行役員の井戸賢次氏

 「Cogent AIプラットフォーム」から提供する第1弾のAIサービス「COGENT AI SmartRead PLUS+」の概要については、Cogent Labs 取締役常務執行役員の木本恭次氏が紹介した。

Cogent Labs 取締役常務執行役員の木本恭次氏

 「『COGENT AI SmartRead PLUS+』は、注文書、請求書、納品書、証明書、報告書など、あらゆる形式の文書に対応した自動データ化サービス。具体的には、顧客から文書の引き取りとスキャンを行い、AIが自動で仕分け、読み取る。さらに、専門オペレーターによる確認・補正プロセスを組み込むことで、これまで読み取りが難しかった文書でも信頼度の高い構造化データを提供できる。同サービスによって、データ入力のプロセスは完全に自動化され、顧客の作業はゼロになる。顧客は加工されたデータを受け取って、すぐに業務に活用することができる」と、新サービスの特長やメリットをアピールした。

「COGENT AI SmartRead PLUS+」の概要

 発表会の最後には、NXワンビシアーカイブズ 取締役常務執行役員の井戸賢次氏、同 AI-OCR事業推進部 担当部長の室雅晴氏、Cogent Labs 取締役常務執行役員の木本恭次氏、同 常務執行役員 リレーションシップ担当上級役員の柴田重政氏の4名によるトークセッションが行われた。トークセッションでは、これまでの両社の協業展開によるAI活用サービスの導入事例として、「化学メーカーの工場の事業継続」、「人事アウトソーシング会社の年末調整業務」「セキュリティ警備サービス会社の鍵管理業務」「経理部門の税金支払い業務」の4つのケースについて紹介した。

写真左から:NXワンビシアーカイブズ AI-OCR事業推進部 担当部長の室雅晴氏、同 取締役常務執行役員の井戸賢次氏
写真左から:Cogent Labs 取締役常務執行役員の木本恭次氏、同 常務執行役員 リレーションシップ担当上級役員の柴田重政氏