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「社内ヘルプデスク業務」の外部委託率が74%に増加、キヤノンMJ調査

 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は9日、従業員数300~1000人未満の企業に勤務する、情報システム部門の担当者100人を対象にした、情報システム部門の「社内ヘルプデスク業務」に関する定点調査の結果を発表した。

 調査では2024年版の同内容調査と比較して、情報システム部門の抱える業務課題や外部委託の状況、生成AIの活用と課題について実態を解説している。

 情報システム部門のヘルプデスク業務を外部に委託しているかという質問では、「業務全体を委託している」が22.0%、「部分的に委託している」が52.0%で、合計74.0%が外部に委託していると回答した。2024年の調査と比較すると、外部への委託割合が28.6ポイント増加している。

 「業務全体を委託している」以外の回答者に、情報システム部門の業務において、ヘルプデスク業務が占める割合はどの程度かという質問では、「10%〜20%未満」が32.0%、「20%〜30%未満」が21.8%という回答となった。

 現在の社内ヘルプデスク業務に課題を感じているかという質問には、「非常に感じている」が28.0%、「やや感じている」が49.0%と回答。「非常に感じている」「やや感じている」と回答した人に、社内ヘルプデスク業務に感じている課題(複数回答)を質問したところ、「問題が多岐にわたり、解決までの時間が長くなる」が63.6%、「人員不足により、一人当たりの負担が大きい」が50.6%、「ヘルプデスク対応に時間を取られ、他の進めたい業務が進められない」が44.2%となった。

 ヘルプデスク業務を効率化していくための行っていること、検討していること(複数回答)は、「情報システム部門の人員を増強する」が44.0%、「ヘルプデスク業務を外部の専門業者に委託する」が40.0%、「ヘルプデスクスタッフが利用するツール(問い合わせ対応サポートツールなど)を導入する」が33.0%となった。直近1年で、情報システム部門の人員を増員した人数については、「3名~5名未満」が23.0%、「5名~10名未満」が18.0%、「10名以上」が10%となった。

 ヘルプデスク業務を外部の専門業者に委託している回答者に、どのような課題を感じて検討に至ったか(複数回答)という質問では、「繁閑調整が難しい」が65.0%、「教育に割く時間を作るのが大変」が45.0%となった。

 また、ヘルプデスクの効率化対策として生成AIの活用と回答した人に、どの領域での活用を導入/検討しているか(複数回答)と尋ねた質問では、「チャットボットでの自動対応」が61.9%、「FAQ自動作成」が57.1%、「ヘルプデスクスタッフの支援(電話音声要約)」が52.4%となった。

 一方、生成AIの活用を検討する上で感じる課題(複数回答)については、「どのサービスが良いのかわからない」が57.1%、「導入効果の評価が難しい」が47.6%、「ヘルプデスクスタッフへの教育が負担」が47.6%という回答となった。

 ヘルプデスク業務を外部に委託するとした場合、どのような点に最も期待するか(複数回答)という質問では、「サービス品質の向上」が56.0%、「専門性の高いサポート」が49.0%、「最適なコストでの運用」が38.0%という回答となった。

 キヤノンMJでは、今回の調査で、中堅企業の情報システム部門が直面するヘルプデスク業務の課題が、一段と深刻化していることが明らかになったと分析。デジタル化の加速とリモートワークの定着に伴い、社内からの問い合わせはますます複雑化・多様化し、従来の対応体制は限界を迎えており、特に、問題解決の長期化や人員不足が顕著で、これにより戦略的IT業務に割くべきリソースが圧迫されている実態が浮き彫りになったとしている。

 実際に、ヘルプデスク業務の外部委託は前年から大きく増加しており、課題解決に向けた動きが進みつつあると説明。今後は、生成AIやチャットボットなどの新技術の導入に加え、専門性の高い外部サービスを積極的に活用し、効率的な運用体制を構築することが急務と言えるだろうとしている。