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IBM、AIエージェントのガバナンスとセキュリティーを統合するソフトを発表
2025年6月23日 15:22
米IBMは現地時間18日、AIエージェントを組織全体に拡大する企業の動向に対応するため、AIセキュリティチームとAIガバナンスチームが連携して企業のリスク態勢を統合的に監視できるソフトウェアを発表した。エンドツーエンドのAIガバナンスツール「watsonx.governance」と、AIモデル、データ、使用法を保護するツール「Guardium AI Security」を強化し、統合するこの新機能により、エージェントを含むAIシステムのセキュリティと信頼性を確保しながら大規模な環境で運用できるよう顧客を支援するとしている。
IBMは、Guardium AI Securityとwatsonx.governanceの統合を強化し、AIのユースケースに関連するセキュリティおよびガバナンスのリスクを管理できる、業界初の統合ソリューションを企業に提供する。この統合により、EU(欧州連合) AI規則やISO 42001を含む、12の異なるフレームワークに対するコンプライアンス基準を検証する、ユーザーのプロセスをサポートする。
IBMはまた、AllTrue.aiとの協業を通じて、Guardium AI Securityに新機能を導入する。クラウド環境、コードリポジトリー、組み込みシステム内で新たなAIのユースケースを検出する機能などを追加し、分散化が進むAIエコシステムに広範な可視性と保護を提供する。脅威を特定すると、Guardium AI Securityはwatsonx.governanceから適切なガバナンス・ワークフローを自動で起動する。
Guardium AI Securityの最新のアップデートには、自動レッドチーミングも搭載されており、企業はAIユースケース全体の脆弱性や設定ミスの検出と修正を実施できる。また、コードインジェクション、機密データの暴露、データ漏えいなどのリスクを軽減するため、入力/出力両方のプロンプトを分析するカスタムセキュリティポリシーも定義できる。現在、Guardium AI Securityで利用可能となっているこれらの機能と、watsonx.governanceの統合は、今年末までに展開予定としている。
watsonx.governanceでは、開発からデプロイまでのライフサイクル全体にわたってAIエージェントを監視、管理できるようになった。評価ノードをエージェントに直接組み込めるため、ユーザーは回答の関連性、コンテキストの関連性、忠実性などのメトリクスを注意深く監視し、パフォーマンス低下の根本原因を特定できる。今後計画されている機能には、エージェントのオンボーディングリスク評価、エージェントの監査証跡、エージェントツールカタログなどがあり、これらは米国時間6月27日に利用可能になる予定。
watsonx.governance Compliance Acceleratorsは、世界中の規制、基準、フレームワークの中から厳選されたものをあらかじめ搭載して提供するため、ユーザーは自らのAIユースケースに関連する規制を特定してマッピングできる。主要な規制として、EU AI規則、米国連邦準備制度理事会(FRB)のSR 11-7、ニューヨーク市地方条例144などに加え、ISO/IEC 42001などのグローバル基準、NIST AI リスクマネジメントフレームワーク(AI RMF)などが含まれる。watsonx.governance Compliance Acceleratorsはすでに、追加機能として利用できる。
さらに、顧客が責任を持ってAIを拡大できるように、IBMサイバーセキュリティコンサルティングサービスは、Guardium AI Securityなどのデータセキュリティプラットフォームと、AI技術および業界に特化したコンサルティングを統合した新たなサービス群を導入している。この新たなサービス群は、AI導入の発見や潜在的な脆弱性の特定から、AIの各レイヤーにおけるセキュアバイデザインの実践、絶えず変化する規制環境に対応するガバナンスの指針に至るまで、組織のAI変革を包括的にサポートする。サービス群は、IBMコンサルティングが これまで Nationwide Building Societyやe&社を含む全世界で数百社の顧客に提供してきた、AI戦略およびガバナンス支援の実績に基づいて構築されている。
また、AWSの顧客により高い価値と利便性を提供するため、watsonx.governanceはインドのAWSデータセンターでも利用できるようになり、モデル監視機能も強化した。
IBMでは、今回発表した新機能と統合は、企業がエージェント型AI時代に成功を収めるための包括的なガバナンスとセキュリティを提供するものだと説明。これらのイノベーションは、より広範なIBM watsonx AIソリューション群とも密接に連携しており、企業が生成AIのインパクトを迅速に拡大し、信頼性とセキュリティのもとで活用できるよう支援するとしている。