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マイクロソフト、Oracle DBからSQL Server 2016への移行支援施策を国内展開

 日本マイクロソフト株式会社は20日、「Microsoft SQL Server 2016」導入に関する、新たな支援策を発表した。Oracle Database/Oracle Exadataなど他社の商用データベース製品からSQL Serverへ移行する際、SQL Serverのライセンスを「特別価格」で提供するという。同様の施策はすでに米国では発表されていたが、日本国内でも他社製品からの乗換支援の実施を発表したことで、同社の積極的な戦略がより明確化した形となった。

 今回の移行支援施策を展開する背景には、Oracle製品から脱却したい顧客からの強い要望があることを、日本マイクロソフト クラウド&サーバー製品マーケティング部 部長の斎藤泰行氏は明らかにした。「Oracle Databaseの年間保守契約の値上げや定価の値上げに加え、Standerd Edition Oneの販売を終了して約3倍の値段であるStandard Edition 2に統合されたことにより、SQL Serverに移行したいと話すお客さまが非常に増えている」(斎藤氏)。

 SQL Serverはパートナーによる間接販売製品であるため、どの程度の特別価格なのかについて明言は避けたものの、斎藤氏は「年間のライセンス料金が下がっても、Oracle DatabaseからSQL Serverへの移行費用が、それより高くなってしまうようでは意味がない。ライセンス数のボリュームにもよるが、特別価格によって発生した差額を移行費用に充当できるレベル」と述べている。つまり、現状の年間保守費用に近い金額を、移行コストに充当できるような支援が行われると考えて良いだろう。

 メインターゲットとしている他社の商用データベースがOracle Databaseなのは確かだが、マイクロソフトはOracle以外のベンダーの製品であっても、同様の支援対象となることを明らかにしている。適用条件は以下の通り。

・競合製品からの移行を約束する旨の契約書への記載
・最低50コア以上の移行プロジェクトであること
・オープンソース以外の商用データベース製品からの移行であること

 また、移行支援には、アクセンチュア、SCSK、デル、NEC、日本HP、JBS、ユニシス、富士通の9社が協力を明言している。たとえば日本HPでは、Oracle Exadataから移行する場合、Superdome X(SDK)を80%引きで提供するという。その他のパートナーでも、移行難易度の評価から運用に至るまで、さまざまな支援策を用意しているとした。

 マイクロソフトが競合他社のデータベース製品からの移行を積極的に支援する施策を展開するのは、SQL Server 2016の性能に本当に自信があるためだという。米Microsoft パートナーPM マネージャー データベースシステムチームのLindsey Allen氏は、「SQL Server 2016とWindows Server 2016の組み合わせは、世界で最も優れた価格性能比」と述べる。

 SQL Server 2016による高速化、より強化されたセキュリティ、インメモリOLTP、高度分析、モバイルBIなどがビルトインされており、SQL Serverを購入することで全て利用可能になる。第三者機関であるガートナーの調査においても、SQL Serverは業界のリーダーの位置にあると評価されたことを同氏は明らかにした。

 斎藤氏は「SQL Server 2016は本当に良い製品。これを機に乗り換えない手はない」と述べ、今後熾烈になることが予想される顧客の争奪戦に、積極的な姿勢で臨むことをアピールした。

北原 静香