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SCSK、コールセンター応対の音声認識から苦情・満足度などをリアルタイムに予測する「VOiC for SAP HANA」

会話を瞬時にテキスト化して確率を算出、苦情の判定精度は85%

 SCSK株式会社は7日、コールセンターにおいて音声認識されたテキスト文章などをもとに、苦情・満足度などをリアルタイムに予測するシステム「VOiC for SAP HANA」を発表した。提供は9月から。

システムイメージ

 SCSKでは、コールセンターにおけるオペレーターの応対業務において、顧客の離反や満足度の低下といった問題の原因を分析する情報システムは既に存在するが、従来のシステムでは、どのようなやりとりが不満足を引き起こしているのかをキーワードベースで拾い出すものが主で、正確性に欠けたものがほとんどだったと説明。こうした問題を解決するため、SCSKでは長年取り組んでいる音声認識システムの導入技術、テキスト化された会話の分析技術を活用し、機械学習によってリアルタイムに予測を行う「VOiC for SAP HANA」を開発した。

 「VOiC for SAP HANA」では、音声認識技術を用いて顧客とオペレーターの会話を瞬時にテキスト化し、会話内容から苦情の発生や満足度の向上・低下の確率をリアルタイムに算出する機械学習モデルを構築している。モデルによる判定は、単なるキーワードのマッチングでなく、表現の組み合わせ、回数、会話スピード、会話比率など100以上の特徴からスコア付けを行い、最適な予測を行うモデルを生成。これにより、オペレーターや分析者などがあらかじめ単語を設定するなどの手間をかけずに精度の高い判定ができるようになっており、苦情の判定精度は85%だという。

画面イメージ

 「VOiC for SAP HANA」では、SAPジャパン株式会社の「SAP Predictive Analytics」を活用することで、これまで数カ月かかっていた機械学習モデルの作成期間を数時間に短縮。また、平均2秒に1回発生するコールセンターの発話データに対処するため、膨大なデータを高速で処理するプラットフォームとして、「SAP HANA」を採用している。

 リアルタイムで音声認識テキストを取得する仕組みは、株式会社アドバンスト・メディアの「AmiVoice Communication Suite2」と連携することで、精度の高い音声認識テキストの生成も可能。

 苦情の判定では、業界に依存しない共通的な表現や特徴を使用しているが、システム導入時には業界や目的別にカスタマイズしたモデルの構築に対応する。まずは、苦情判定機能から提供を開始し、順次、商品リコメンド、離反の予測、成約の予測などの機能を拡充する予定。また、コールセンターに限らず、SNSにコメントされたユーザーの声をリアルタイムに分析するサービスも提供する予定としている。

三柳 英樹