ニュース

富士通、群馬銀行・滋賀銀行からマイナンバー管理システム構築を受注

 富士通株式会社は10日、株式会社群馬銀行と株式会社滋賀銀行より、マイナンバー管理システムの構築を受注したと発表した。両行のノウハウを融合し、金融機関に適したシステムを共同開発するとのことで、2016年1月のマイナンバー制度運用開始にあわせ、システムの運用も開始する予定という。

 マイナンバー制度の運用が開始されると、金融機関は当面の対応として、対象となる法定調書に顧客のマイナンバーを記載し、行政機関などに提出することが求められる。また、マイナンバーは特定個人情報に該当するため、内閣府外局の特定個人情報保護委員会が定める「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」にのっとり、厳重に管理する必要がある。

 これらに対応するため、今回開発するシステムでは、富士通のシステム構築ノウハウに、群馬銀行、滋賀銀行の金融機関業務ノウハウを融合し、最適なシステム構造を決定するとした。

 具体的には、口座保有者および契約者から提供されたマイナンバーを格納したデータベースを暗号化した上で、適切な目的外でのアクセスを制限し、アクセスログを採取する仕組みを導入する。こうしたセキュリティ機能の実装にあたっては、サーバーのセキュリティ強化を実現するソフトウェア「FUJITSU Security Solution SHieldWARE」や、データベース「FUJITSU Software Symfoware Server」の暗号化機能など、富士通のミドルウェアを活用して行うとのこと。

 また、これらの顧客から収集したマイナンバーの登録、情報照会・更新、廃棄機能を備えるほか、特定口座年間取引報告書や国外送金等調書などの法定調書に、顧客のマイナンバーを記載する仕組みを用意する。

 なお、このシステムは、現時点でのマイナンバー制度対応に必要な機能に絞ってコンパクトな構成とし、既存のシステムと柔軟にデータ連携が可能なシステム構成を採る予定。これにより、既存の法定調書作成などのマイナンバー制度対応が必要なシステムすべてを改変するよりも低コストでマイナンバー制度に対応できるほか、システムの利用者のみを厳重に管理することで、マイナンバーに関する情報漏えいリスクを低減できるとした。加えて、今後の制度変更に備え、柔軟性と拡張性に考慮した開発を行うとしている。

 富士通では、8月をめどに、このシステムをベースとしたマイナンバー管理システムを、ほかの金融機関にも販売開始する予定だ。

石井 一志