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シマンテック、クラウド型のメールアーカイブサービスを日本で正式提供開始

時間や場所を問わず迅速なメール検索を実現

シマンテック 常務執行役員の関屋剛氏

 株式会社シマンテックは6月5日、クラウド型情報管理・検索サービス「Symantec Enterprise Vault.cloud」(以下、EV.cloud)を日本で正式に提供開始することを発表した。

 「EV.cloud」は、組織がメールや重要なビジネス上の情報をより快適に保管、管理、検索できるようにする完全SaaS型のアーカイブサービス。すべてのユーザーの受信トレイ内のメールを、クラウド上に構築されたストレージ領域にアーカイブし、保存されたメールは場所や時間を問わずにアクセスすることができる。アーカイブされているメールの体裁は、実際のメールとほぼ同様となっている。

 シマンテック 常務執行役員の関屋剛氏は、「EV.cloud」の発表にあたり、メールセキュリティをとりまく市場背景について、「企業が扱うメールのデータ量は増大し続けており、メールを介して攻撃してくるサイバー脅威も増加している。そのため、個人や部門、支店などにメールの管理を任せている企業では、情報漏えいのリスクが高まるとともに、コンプライアンスの面でも不安を抱えているのが実情だ。また、海外に拠点をもっている企業では、各地のメール管理状況や保全状況が把握できていないケースも多く、メールアーカイブを低コストで一元管理できるソリューションのニーズが高まっている」と話す。

 「当社では、メールにかかわるセキュリティ脅威から企業を守るソリューションに力を注いでおり、クラウド型サービスとしては、すでに『Symantec Email Security.cloud』と『Symantec Web Security.cloud』を展開している。今回、新たに提供開始する『EV.cloud』は、これらに続く3つ目のクラウド型サービスとなり、企業のメールデータを一元的にアーカイブし、その安全性を担保する。『EV.cloud』を加えた3つのクラウド型サービスを活用することで、企業では、メールにかかわる基幹システムの安全性を高めるとともに、ビジネスの俊敏性を向上することが可能となる」(関屋氏)と、「EV.cloud」の位置づけについて説明した。

 また、シマンテック プロダクトマーケティング マネージャの長島理恵氏は、これからのメールシステム運用における重点ポイントとして、「メールデータ量の爆発的な増加にともない、重要情報の漏えいや消失などのセキュリティリスクがさらに高まっている。また、メールボックスの容量オーバーを回避するために、ハードウェアの追加投資もしくはデータの削除が求められる。さらに、システムダウンや災害発生時における、メールにかかわるBCP対策も大きな課題だ。そして、海外にビジネス展開する際には、訴訟リスクに備えてコンプライアンス対策も重要になる」と指摘。「『EV.cloud』では、これらのセキュリティ、キャパシティ、アベイラビリティ、コンプライアンスという4つのポイントすべてに対して、最適なソリューションを提供する」と、そのメリットを訴えた。

シマンテック プロダクトマーケティング マネージャの長島理恵氏
「EV.cloud」の機能概要

 具体的には、「セキュリティ」と「キャパシティ」では、メールやその他の情報を容量無制限、無期限でシマンテックの安全かつ高可用性のクラウドデータセンターに保管することができるという。「ユーザーは、アーカイブシステムを通じて実質無制限にメールボックスを使うことができるため、PST保存の必要がなくなり、情報漏えいを防止する。また、管理者は『EV.cloud』を通じて全メールメッセージと添付ファイルにメールサーバーからアクセスすることが可能となり、サーバーのパフォーマンスを向上させ、バックアップやリカバリのウィンドウを減らすことができる」(長島氏)としている。

 「アベイラビリティ」では、メールアーカイブに直接かつロールベースでアクセスし、リアルタイムで直感的な検索を行うことが可能となる。「Office 365と連携した使いやすいユーザーインターフェイスにより、必要なメールデータを、いつでもどこでも、迅速に検索することができる。また、iOSやAndroidにも対応しており、モバイルデバイスから簡単にアーカイブされたメールを閲覧できるとともに、返信や新規メールの送信も行える」(長島氏)という。このほかに、メールシステムが停止した場合でも、オンプレミス・クラウド問わず新規メールの受信や送信ができるBCP機能「Mailbox Continuity」をオプションで用意している。

「EV.cloud」のモバイルデバイスでのメール閲覧画面
「EV.cloud」のモバイルデバイスでのメール検索画面

 「コンプライアンス」では、監査・法令対応用のインターフェイスを提供。e-Discovery(電子情報開示要求)のワークフローが組み込まれており、メール証跡を高速出力し、外部の監査法人や弁護士事務所などと連携して、容易に監査を行うことが可能となっている。

 「EV.cloud」の税別価格は、初期費用が16万円。250~499メールボックスが年額5208円/1ライセンス、500~999メールボックスが年額4860円/1ライセンス。オプションのBCP機能「Mailbox Continuity」は、250~499メールボックスが年額2724円/1ライセンス、500~999メールボックスが年額2544円/1ライセンス。なお、BCP機能オプションを標準搭載した「EV.cloud Enhanced」は、250~499メールボックスが年額6684円/1ライセンス、500~999メールボックスが年額6249円/1ライセンスとなる。

唐沢 正和