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JAXAに新スパコン、乱流・音響シミュレーションを加速へ
富士通の次世代機を採用、3.4PFLOPS
(2014/4/7 16:48)
富士通株式会社は7日、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の新スーパーコンピュータを受注したと発表した。「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX10(以下、PRIMEHPC FX10)」の後継機を中核としたシステムで、全体の理論ピーク性能は現行システムの約24倍となる3.4ペタフロップスとなる。JAXAは大規模データ解析の処理能力を向上させる狙いで、2014年10月に一部のシステムが稼働、2016年4月に全面稼動する予定。
JAXAでは、ロケットエンジンの流体・熱・構造の研究や、航空機機体空力騒音に関する研究など多岐にわたる分野でシミュレーション技術の適用を進めている。近年、乱流、音響などの状態の変化をシミュレーションするといった大規模なデータ解析が盛んとなっており、計算処理能力のさらなる向上が求められたことから、新システムの導入を決めた。
新システムは、PRIMEHPC FX10の後継機を中核に構成され、システム全体では現行の約24倍となる3.4ペタフロップスの論理ピーク性能を備える。サブシステムとして160台の「PRIMERGY RX350 S8」で構成されたPCクラスタシステムや大規模メモリ空間を利用したシミュレーション用サーバーも有し、利用目的に応じた最適な計算環境を実現する。
PRIMEHPC FX10後継機は、PRIMEHPCシリーズの次世代モデルとして開発が進められており、1テラフロップスクラスの性能を持ち、Tofuインターコネクトを統合したSPARC64シリーズの最新プロセッサや、高いメモリ性能を発揮するHybrid Memory Cubeなど、最先端のテクノロジーが実装される。
段階的な導入を計画しており、2014年10月にシステムの一部を、2016年4月に全面稼動させる予定。
JAXAの展望としては、今回のシステムを宇宙航空分野での先導的計算科学研究の推進、数値シミュレーション技術やデータ解析によるプロジェクトへの貢献、宇宙航空分野における学術的基礎研究の実施などを前進させたい考え。また、人工衛星が取得した画像などのデータ補正処理も実施する予定で、これまで数カ月要していた処理時間を大幅に短縮できると期待している。