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日立と博報堂、ビッグデータ利活用時の生活者情報取り扱いに関する意識調査を実施

 株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社博報堂は27日、両社のビッグデータ利活用協働プロジェクト「マーケット・インテリジェンス・ラボ」の活動として、ビッグデータで取り扱う生活者情報に関する意識調査を、株式会社日経BPの協力のもとで実施したと発表した。

 昨今ではビッグデータの処理技術の進展に伴い、個人を特定可能な個人情報と、商品の購入履歴やGPSによる位置情報のように、特定の個人を必ずしも識別しない情報を含め、生活者情報が各方面で利用されるようになった。こうした中で日立と博報堂では、生活者自身がどのような意識を抱いているかということを把握するために、今回の調査を実施したという。

 この調査では、ビジネスや公共分野などにおいて、自分の生活者情報が利活用されることに対する期待や不安、抵抗感の実態からその軽減方法までを総合的に調査した。調査日は3月22日で、インターネットを通じて、全国20~60代の男女1030名を対象に行っている。

 その結果、自身の生活者情報がビッグデータとして企業などで利活用されることに対して、「企業や条件に関係なく利活用は認めない」と回答した生活者が1~2割程度だったのに対し、4割弱の生活者は「期待と不安が同程度」と回答しており、不安や抵抗感を持っている一方で、期待も感じていることが分かったという。

 また性別を見ると、男性よりも女性の方が迷惑行為・犯罪行為への懸念を中心に不安が強くなっているほか、利活用される情報の種別により、大きく抵抗感が違う結果になったとのことで、特に、社会や生活の向上のために利活用されることには、比較的抵抗感が少ないとした。

 一方で、生活者が自ら情報を制御できる環境の実現や、匿名化などの対策の実施により、抵抗感の軽減が可能との結果が出たとのこと。情報の削除や用途などをある程度自分で制御できることが重要で、匿名化などの対策を講じることにより、8割前後の回答者が抵抗感を軽減可能としており、各種対策による改善に期待する「施策待望層」の意識にこたえていくことが鍵だと、日立と博報堂では分析している。

 なお生活者情報の中でも、特定の個人を識別できない情報は個人情報保護法による保護の対象にはならないが、そうした情報にもプライバシー性を持つのがあり、適切に取り扱われなかった結果、無断で情報を収集していたとしてプライバシー侵害が問題視される事例がこれまでに発生している。

 これを受け、ビッグデータ利活用における生活者情報の取り扱いに関する議論において、それが個人情報保護法で保護される情報ではなかったとしても、プライバシー関連情報として、一定の配慮を行うべきという指摘がされており、今回の調査結果からは、生活者サイドもその配慮を求めていることが読み取れるとした。

(石井 一志)