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2024年の国内BPOサービス市場は前年比3.0%増の9943億円、AIがサービス提供モデルの変化を促す~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は4月30日、国内ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場予測を発表した。2024年の国内BPOサービス市場(支出額ベース)は、国内企業の業務プロセス変革の進展とサービス価格の上昇、地政学リスクの高まりを背景とした企業の業務拠点の国内回帰などを背景に、前年比3.0%増となる9943億円と推計している。

 サービスセグメント別のうち、国内人事BPOサービス市場では、大企業の業務拠点の国内回帰に伴う需要拡大のほか、人手不足を背景に中堅中小企業でも支出拡大が見られたと分析。加えて、人的資本経営の実践、人手不足下での従業員定着化に向け、福利厚生BPOサービスの利用による福利厚生の充実を図る動きも見られたという。

 国内カスタマーケアBPOサービス市場では、人手不足を背景とした需要拡大やEC取引の緩やかな拡大が促進要因となった一方、2023年に続き国策関連業務の縮小が見られたと分析。加えて、AI/生成AIを活用した代替製品/サービスの台頭も阻害要因として影響し、サービスセグメント別では最も低い前年比成長率となったとしている。

 国内財務/経理BPOサービス市場では、単純な記帳代行を主体とするサービスでは継続的な需要低下が見られるものの、大企業における業務拠点の国内回帰によるサービス需要の拡大や、包括的なバックオフィス業務変革への取り組みが成長をもたらしたと分析している。

 国内調達/購買BPOサービス市場では、国内経済の回復基調を背景に、大企業を中心に間接材のトランザクション型サービス需要が拡大したほか、準大手/中堅企業でも需要の回復が見られたとしている。

 2025年以降は、国内企業のデジタルビジネス化が進む過程において、アウトソーシングすべきビジネスプロセスの明確化が進むことで、国内BPOサービス市場の継続的な拡大が見込まれまると予測。加えて、AI/生成AI活用の進展はサービス供給力と付加価値の向上をもたらし、国内BPOサービス市場全体の促進要因になると見込んでいる。ただし、自然言語処理を特徴とする生成AIとの親和性が高いカスタマーケア領域では、AI/生成AI組み込み製品/サービスとの競合が強まる可能性があると指摘。これらを背景として、国内BPOサービス市場の2024年~2029年の年間平均成長率は4.1%、2029年における市場規模は1兆2169億円になると予測している。

 IDC Japan Software & Servicesのシニアリサーチアナリストである村松大氏は、「AI/Generative AI(生成AI)活用の進展は、国内BPOサービス市場において、人(オペレーター)中心からデジタルアセット中心のサービス提供モデルへの変化を促している。BPOサービスベンダーでは、ITサプライヤーなどとの共創による顧客のビジネスプロセス変革支援とサービス提供価値の拡張が重要となる」と述べている。

国内ビジネスプロセスアウトソーシング市場 支出額予測:2024年~2029年(出典:IDC Japan)