ニュース
リコージャパン、全国の金融機関と連携し地域の中小企業へのDX支援を提供
2025年3月26日 06:15
リコージャパン株式会社は25日、地域銀行、信用金庫との連携を強化し、地域の中堅・中小企業向けのIT化を支援し、地域経済活性化に向けたビジネスを強化すると発表した。2019年5月にスタートした地域の金融機関との連携が、全国47都道府県で地方銀行36行、信用金庫123行まで拡大。今後もさらに、金融機関との連携拡大を進める考えで、地域の金融機関との連携によって、その地域経済の活性化実現を目指していくという。
金融機関にとっては、リコージャパンを通じてITを活用した顧客企業への経営支援強化などを実現できるメリットがある。一方で金融機関の顧客企業にとっては、デジタル化による業務効率化などを実現できることがメリット。またリコージャパンにとっては、新たな顧客獲得につながる。
紹介企業数は直近2年で6000件となり、うち成約件数が2000件超となった。リコージャパンでは、2025年度には数十億円のビジネスとすることを目標としている。
- 初出時、連携する金融機関の数に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
地域密着ビジネスを行える体制を生かす
日本全国に48支社を持つリコージャパンは、営業担当者7400人、カスタマーエンジニア4400人を抱えており、地域密着ビジネスができる体制を持つことが大きな強みとなっている。
今回は、地方銀行・信用金庫など地域で金融ビジネスを展開する金融機関と提携し、DX、GX(グリーントランスフォーメーション)を実現するために必要なソリューションを提供していく。金融機関にとっては、行内にITに詳しい人材がいない場合でも顧客にITソリューション導入が可能になる一方で、顧客企業と従来から取引がある金融機関の紹介になるため成約率が高くなるなどのメリットがある。
金融機関との連携について、リコージャパンでは2019年5月から取り組みを開始。2020年段階で28都道府県の金融機関と51契約を結び、2022年には44都道府県で109契約、2024年には47都道府県159契約を結んでいる。
「この3月に結んだ契約によって、47都道府県全自治体にある金融機関との契約を結ぶことができた」(リコージャパン 常務執行役員 エンタープライズ事業本部 事業本部長の石田貴彦氏)。
提携のためのリコージャパン側の支援体制も、コンサルティング機能の強化、DX人材育成、金融機関に対する伴走支援強化、さらに専門部署を立ち上げるなど年々強化されている。
リコージャパンは全国に拠点、営業スタッフ、カスタマーエンジニアを持っていることから、地域の金融機関の要請によって、地域の企業に対するDX・GX支援を行っている。全10業種に分かれた業種別アプローチツールを使ったDX導入支援、金融機関に対するDX勉強会、金融機関が顧客にアピールするためのイベント開催支援、金融機関自身のDX実現支援など、全方位で金融機関を支援しているという。
「リコージャパンの強みは拠点数、対応できるスタッフ数の多さに加え、マルチベンダーでその企業の規模、ニーズに合わせ色々なソリューションを提供できることにある」(リコージャパン エンタープライズ事業本部 金融共創ビジネス営業部 部長の須山哲男氏)。
業種別アプローチとしては、土木、建築、設備、福祉介護、観光・宿泊、不動産、卸売、製造、医療、運送といった全10業種については、共通するビジネス課題をベースとしたアプローチツールを用意。業種プロセスに応じた困りごと、その課題と解決策を提案する内容となっている。
また、金融機関の顧客へのアプローチを進めるためのスキームとして、金融機関内でのDX勉強会を行うほか、案件対応のため、初回訪問にリコージャパンの部長や営業所の所長などが同行。さらに、企業側の課題に応じた個別研修会、DX体験会、金融機関主催のイベント開催も支援する。
イベント支援も規模ごとに提供しており、小規模なものとしては、金融機関の店舗内で相談会を実施し、来店した企業ユーザーからの相談に乗る機会を作っている。また中規模イベントとして、金融機関の各拠点の会議室でDX体験会を実施し、法改正、注目されているトレンドに沿ったITソリューションや、業種に特化したツールなどを紹介する。大規模イベントについても、金融機関主催でのセミナー、ITツールを紹介するブースをリコージャパンが出展するなど、規模に応じた内容を用意するとのこと。
また、金融機関自身のDX・GX実施のための相談も増加している。「金融機関からは、ペーパーレス化の実施、非対面チャネル開設のための相談、店舗の一部をコンサルティングスペースとすることなど既存店舗の利活用に関する相談という3種類の相談が増えている」(須山部長)。
このほか、リコーがRICOH kintone plusを使った中堅・中小企業のDXを支援する成功例を持っていることから、kintoneを使った企業へのDX支援に関する相談も多いという。
なお、金融機関支援を行うリコージャパン側のメリットとしては、「金融機関から紹介してもらう企業は、リコーとはそれまでに接点がなかった企業が多い上、スタート段階から経営層と面談することが多く、訪問回数少なく案件成立となる確率が高い」ことがあるという。リコージャパンでは、顧客獲得機会としても金融機関との連携を強化していく考えだ。