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日立、Oracle Databaseを利用した基幹DBのクラウド移行支援サービスを提供

日立、日本オラクル、日本マイクロソフトの3社で検証を実施

 株式会社日立製作所(以下、日立)は11日、Oracle Databaseを利用した基幹DBシステムの確実で効率的なクラウド移行を支援する「クラウド移行支援サービス for Oracle Database」を販売開始した。

 日立では、サービスで活用するベストプラクティスを確立するため、日本オラクル株式会社、日本マイクロソフト株式会社(以下、日本マイクロソフト)、日立の3社が、国内で前例のない取り組みとして、Oracle Database@Azure環境で3社連携の検証を実施した。

クラウド移行支援サービス for Oracle Databaseの特長

 具体的には、基幹業務でのDBアクセスパターンを、証券取引などのオンライン処理、料金計算などのバッチ処理、売り上げ分析や監査などの大量データ抽出の3つに類型化し、これらのミッションクリティカル用途で必要な可用性を加味したパフォーマンスを引き出すシステム構成のベストプラクティスを確立した。

 クラウド移行支援サービス for Oracle Databaseでは、検討フェーズとして、顧客が利用中のOracle Databaseの現在のシステム要件や運用体制と、移行先の候補や希望要件について、ヒアリングを実施し、プラットフォームエンジニアが、コストバランスを含めたアセスメントを提示する。これにより、顧客の要件の実現性と優先順位を明確化し、適切な環境や構成の選定を進められるようにする。

 アセスメントには、日立のミッションクリティカルシステムの経験や検証の成果に基づくベストプラクティスを活用しているため、検討漏れを防げる。また、アセスメントの後、顧客の固有の業務を想定した検証を実施する場合も、インフラ関連の検証を省力化し、顧客は業務観点に注力して効率的に検証を推進できる。

 クラウド環境構築・移行では、これまでの基幹システムやマルチクラウドの構築および検証時の試行錯誤の経験から、基幹DBシステム用途のクラウド環境の設計・運用に関するベストプラクティスを確立し、最新クラウド技術に対応して更新していく。これにより、顧客自身で設計や設定を検討する項目が最小化され、設計・構築・テストの品質を確保しながら工数を削減できる。また、本番環境をクラウドへ切り替える前に、必要となる大量の基幹データ移行も、ベストプラクティスに基づき、停止時間や業務影響を最小化できる。さらに、DB移行に伴う業務アプリケーション改修についても、プラットフォームエンジニアの支援で効率化できる。

 マルチクラウド運用では、マルチクラウド環境では特に複雑になる、クラウドの責任共有モデルにおいてユーザー責任となる運用監視や問題発生時の切り分けについて、日立が運用者向けに監視ツールの使い分けを支援するほか、運用開始後の問題解決についても、日本オラクルと日本マイクロソフトそれぞれの技術提携スキームに基づき、日立がワンストップで支援し、顧客の運用の確実さと効率を向上する。

 さらにサービスに加え、顧客のニーズに適したオファリングメニューを組み合わせることで、データ利活用、ITモダナイゼーション、セキュリティ対策、クラウド運用の最適化などを、各分野のプロフェッショナル人財とともに、推進できると説明。日立は今後もパートナー各社と連携し、最新のクラウド技術やグローバルな事例の取り込みや、生成AIと基幹データの連携などベストプラクティスの拡充を続け、顧客のデジタル変革に貢献していくとしている。

 クラウド移行支援サービス for Oracle Databaseの提供開始時期は、検討フェーズとクラウド環境構築・移行フェーズが4月1日、マルチクラウド運用フェーズが6月末日予定。価格は個別見積もり。

 日立は、基幹業務へのAI適用に向け、2024年から基幹データを活用したAIユースケースの検証を開始しており、例えば、注文情報や在庫情報といった基幹システムにある業務データを、AIがリアルタイムに検索して回答するユースケースの実装方法の検証を行っている。現在、クラウド上に分散したさまざまな形式の企業データをAIでシームレスに分析する取り組みも進めており、今後も、顧客のデジタル変革に貢献するサービスを拡充していくとしている。