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東芝、二つのAIを協調させることで曖昧な質問にも適切に回答できる対話エージェントを開発

 株式会社東芝は10日、保守点検やトラブル対応の作業手順を適切に提示できる、対話エージェント技術を開発したと発表した。

 開発した技術は、従来の生成AIを利用したチャットボット「応答生成AI」に、新たに開発した「応答評価AI」を加え、役割の異なる二つのAIを協調させることで、曖昧な質問に対しても適切な回答ができるようにしたもの。

 ユーザーから質問が入力されると、「応答生成AI」が応答の候補を複数生成するとともに、「応答評価AI」がそれらの良さを評価し、最も良い応答候補を選択してユーザーに回答する。「応答評価AI」が、質問が曖昧で回答が難しいと判断すると、質問に直接回答せず、問い返しによって質問が具体化するように自動的に誘導する。これにより、曖昧な質問に対しても適切に回答できるようになった。

対話エージェントの概要

 東芝では、実際の設備の保守作業を想定して、作業中の不明点に対する作業手順を提示するユースケースに開発した技術を適応。困りごとを入力する際、情報を具体的に入力したパターン(「機器Aの画面にエラーコード1234が表示されている」など)と、曖昧に入力したパターン(「動かない」「ジョブエラー」など)のそれぞれで検証した。

 従来技術では、具体的な質問での成功率が76.7%であったのに対して、曖昧な質問では30.0%にまで低下した。一方、開発した技術では、曖昧な質問に対しても、具体的な質問の場合とほぼ同等の73.3%の成功率を達成した。曖昧な質問文に答える際、従来技術は全て1ターン目で回答していたのに対して、開発技術は平均で2~3ターンのやり取りを行っており、この結果から、問い返しによる質問の具体化を通して、適切に回答できていることが確認できたとしている。

 東芝は、2024年度中に同社グループ内において、設備の保守作業の現場で問い合わせ業務の実証実験を開始予定。さらに、社外へのサービス提供を目指し、研究開発を進めていくとしている。