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イーデザイン損保とNTT Com、生成AIを活用したアバターによる顧客接点高度化の実証実験

 イーデザイン損害保険株式会社(以下、イーデザイン損保)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は3日、カスタマーセンターへの問い合わせが多い自動車保険の車両入替業務をユースケースとして、生成AIを搭載したアバター(以下、バーチャルコンシェルジュ)の精度の検証を、2024年1月~3月にかけて実施したと発表した。

 車両入替業務とは、自動車保険を契約している顧客が、契約期間中に車両を変更する際に実施する手続きのこと。今回は、車両入替手続きに関する対話のやりとりやFAQを生成AIに組み込み、カスタマーセンターでの応対を想定した対話モデルを構築した。

 このモデルでは、通常の車両入替手続きに加えて、主な運転者が変更となるなどのイレギュラーなケースを含む、5種類のシナリオを組み込んだうえで、対話の精度や応答速度などについて評価を実施した。その結果、将来的には顧客接点として商用化が可能な水準と評価し、実用化を目指して検討を進めるという。

 また、De-Identification Ltd.の動画生成AI(Creative Reality Studio)を活用し、実在の社員を基にしたバーチャルコンシェルジュを生成して、外観や動作などの評価を行ったところ、人間としての自然な動作、応答速度などに課題は残るものの、実務における顧客接点として活用できる可能性があるとの結論に至ったとした。

評価対象としたバーチャルコンシェルジュ

 さらに、悪意のある問いかけ、ハルシネーションの発生などを想定した対話を複数の生成AIに投入し、生成AI側に実装されたフィルター機能の確認を実施した。こちらについては、実用化に向けた一定の効果は確認できたが、ルールベース(あらかじめ定められた内容を回答)との融合など、さらなる検討が必要になったとのこと。

 イーデザイン損保は、今回の実証実験の結果を踏まえて、引き続き最新技術を活用した顧客体験の向上を目指す考え。またNTT Comは、実証実験の成果を基に、NTTグループが推進するNTT版大規模言語モデル「tsuzumi」の活用も視野に入れながら、金融業界の顧客接点の強化を目指し、バーチャルコンシェルジュの高度化を図るとしている。