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NTT Com、NTT独自開発のLLM「tsuzumi」に関するパートナープログラムを募集開始

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、NTTが開発したLLM(大規模言語モデル)「tsuzumi」についてのパートナープログラム「tsuzumiパートナープログラム」の募集を5月29日に開始した。

tsuzumiパートナープログラム

 tsuzumiはNTTが独自に開発して2023年11月に発表した日本語版LLM。商用提供を3月25日より開始している。

 ソリューションメニューとしては、コンタクトセンターでオペレーターを支援する「CXソリューション」、業務マニュアル検索や議事録作成などの「EXソリューション」、ヘルプデスク問い合わせ対応やIT運用自動化などの「IT運用サポートソリューション」がある。

 tsuzumiパートナープログラムも3月の商用提供開始時点でアナウンスされており、今回募集開始となった。

tsuzumiを使うソリューションパートナーと、業界・業務に特化したAIモデルを作るモデルパートナーを募集

 今回はtsuzumiパートナープログラムの中で、「ソリューションパートナー」と「モデルパートナー」の2種類を募集する。

 ソリューションパートナーでは、パートナー企業のサービスへtsuzumiを組み込むのを支援する。もう一方のモデルパートナーでは、tsuzumiを基に、パートナー企業の持つ業界・業務に特化したデータを学習させて新しいAIモデルを開発する。

 今後、tsuzumiを利用したソリューションのコンサルティング提案からインテグレーションまでを行う「インテグレーションパートナー」も設ける予定。

 募集期間は、ソリューションパートナーは8月31日まで、モデルパートナーは7月31日まで。モデルパートナーはこの期間の中で、5月29日~6月30日に1次募集、7月1日~7月31日に2次募集と短いスパンで区切って募集する。さらに、両者ともその先に第2弾募集を予定している。

パートナリングイメージ
募集スケジュール

 モデルパートナーについては、第1弾としての注力テーマも発表されている。「金融」でのコールセンター会話要約など、「自治体」における問い合わせ対応の効率化など、「接客」におけるバーチャルコンシェルジュなど、「エキスパート支援」として医師や薬剤師のように資格が必要な業務のナレッジサポートなどが挙げられている。このテーマは、今後、今後第2弾、第3弾と拡大して募集していきたいという。

モデルパートナーの第1弾の注力テーマ

ドラッグストアや保険相談で、バーチャルコンシェルジュが顧客と会話して提案

 同5月29日に、NTT Comは記者説明会を開催。上述のtsuzumiパートナープログラムや、コールセンター向けのCXソリューションのユースケースについて、NTTコミュニケーションズ株式会社の福田亜希子氏(ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部長)が説明した。

NTTコミュニケーションズ株式会社の福田亜希子氏(ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部長)

 まずは、「バーチャルコンシェルジュによる顧客対応」。これにはさらに、店舗での売り場案内・商品提案と、オンラインでの保険相談の2つがある。

バーチャルコンシェルジュによる顧客対応

 「店舗での売り場案内・商品提案」のユースケースは、3月の時点でも明らかにされていた富士薬品との実証実験だ。ドラッグストアは商品の種類が多いうえに入れかわりも激しいため、バーチャルヒューマンで顧客することで負担を減らせるのではないかと福田氏は言う。

 これについてのデモでは、ディスプレイ中のバーチャルコンシェルジュが人間と言葉(音声)で会話し、多言語での応対、客の症状を聞いての商品の提案、さらに自分で答えられない症状の専門家へのエスカレーション(QRコードの提示)、保有ポイントや購買履歴からのレコメンデーションなどをした。

バーチャルコンシェルジュによる顧客対応の4つのデモ
人間と会話して答える
客の症状を聞いて商品を提案
専門家へのエスカレーション(QRコードの提示)

 「オンラインでの保険相談」は、4月に発表したように、太陽生命と共同実証実験を進めている。バーチャルコンシェルジュが顧客と対話することで、まずは保険契約のヒアリングから対応し、ゆくゆくは契約手続きまでの完了するところまでできるようにするという。

 「顧客からは時間が空いている夜間や休日も対応を求められるが、人間がずっと働いているのは難しいため、バーチャルヒューマンによりかゆいところまで手の届く対応をする」と福田氏は背景を説明する。ペルソナに沿った自由発話も可能。例えば「子供が生まれるのでライフプランを相談したい」と言うと、「おめでとうございます」といった反応もできるという。

バーチャルヒューマンが保険相談で対話する
ペルソナに沿った自由発話も可能

コンタクトセンターで記録や回答作成を助ける

 「コンタクトセンターオペレーター支援」は、東京海上日動と実証実験を進めている。

 オペレーターが顧客の電話対応をしたあと、記録を残す業務を助ける。音声認識で支援するというのはこれまでもしていたが、tsuzumiを用いることで、自動的に内容を要約して記録する。ゆくゆくは、そこからAIで情報を抽出してFAQ作成などにつなげたいという。

コンタクトセンターオペレーター支援

 「COTOHAとの連携」では、チャットボット「COTOHA Chat & FAQ」に生成AIを実装したトライアル版を提供開始する。NTTの社内コンタクトセンターで実証中。

 社内ユーザーから質問を受けたオペレーターが、チャットボット「COTOHA Chat & FAQ」に社内ドキュメントの内容について質問して、その結果をユーザーに回答できるようにする。以前からチャットボットに、社内ドキュメントから該当箇所を探す機能はあった。これに、複数のドキュメントから回答文を作る生成AI(Azure OpenAI)の機能を組み合わせる。これによって、回答作成作業を50%削減するという。

COTOHAとの連携
チャットボットに質問すると、社内ドキュメントを参照して答える