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TOPPANデジタル、モズクの生産工程における負荷軽減を目指して実証実験を開始

沖縄県うるま市の勝連漁業協同組合と協力

 TOPPANデジタル株式会社は26日、沖縄県うるま市の勝連漁業協同組合(以下、勝連漁協)との協力により、モズク生産の効率化を目的とした漁業DXソリューションの実証実験を、3月1日から6月末まで実施すると発表した。

 沖縄県におけるモズク生産量は全国の9割以上を占めており、中でもうるま市の勝連地域は、沖縄県内で約4割の水揚げを誇っているという。そのうるま市でモズク生産の基盤となる勝連漁協は、2月26日、新たにモズク加工工場を開設し、従来流通の問題で生産量が限られていた生モズクの出荷量を増やすことや、ブランド化の推進による販路拡大を目指している。その一方、勝連漁協では、少子高齢化による人手不足・後継者不足などの課題を抱えているとのこと。

 そこで今回の実証実験では、TOPPANデジタルが開発した漁業DXソリューションにより、これまで手作業で行っていたモズク収穫量の管理・品質判定などをデジタル化し、作業負荷の軽減や品質管理を支援することで、水産物の生産から収穫までの工程全般において、生産の効率化や最適化に貢献するとした。

 この漁業DXソリューションは、TOPPANデジタルが開発した1)重量管理アプリ、2)品質判定AIアプリから構成される。

 モズク水揚げの際に発行する伝票は、従来、重量・カゴ数・ロットを手書きで記入・計算する運用だったが、1)では、水揚げ時に漁師ごとのモズク重量をタブレットへ入力すると、カゴ重量が差し引かれ正味の重量が自動計算されるため、手計算によるミス防止やペーパーレス化による作業効率化を支援するという。また、アプリに入力された重量はロットごとに保存されることから、水揚げ後の加工工程以降のトレーサビリティ管理にも役立つとしている。

 一方、モズクの品質判定は、従来、太さやぬめりの状態を熟練担当者の勘や経験に基づき目視で行ってきた。2)は、こうした品質判定作業を支援するもので、TOPPANデジタルが独自に開発したロジックに基づき、判定のポイントとなる「太さ」「ぬめり」の状態を、タブレットなどで撮影した画像から認識する。こうした仕組みにより、人手に頼らず高品質のモズクの選別を行えるので、人手不足・後継者不足の課題を支援するとのこと。

 なおTOPPANデジタルは、今回の実証実験を通じてアプリの有効性の検証、運用上の課題整理による改善などを行い、モズクのみならず、ほかの海産物を含め漁業全般に対応できるサービスとして、2024年秋から提供を開始する。また、実証協力先である勝連漁協が新たに開設したモズク加工工場において、漁業DXソリューションで取得したデータを活用し、加工工場のスマート化も支援するとした。