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タニウム新社長が会見、サポート体制の倍増や日本向けの製品開発体制強化などを表明

タニウム合同会社 代表執行役社長 原田英典氏

 タニウム合同会社は15日、新年度の事業戦略説明会を開催した。1月31日付で原田英典氏が代表執行役社長に就任しているが、原田氏はさらなる成長を実現するために、「新規ビジネス40%成長」、「サポート体制2倍へ」、「日本品質」という3つの軸でビジネス拡大を目指すと説明。「日本の成長は、グローバルの中でも突出している。日本向け施策拡充で、成長の加速と継続を目指していく」と、ビジネス拡大実現に強い意欲を見せた。

3つの軸で成長を目指す

 原田氏は、自分が入社した2017年当時のタニウムを振り返り、「私がタニウムに入社した2017年末の時点では、日本のマーケットの中で、本当に限られた人しかタニウムという企業を知らなかった。当時はEDR(Endpoint Detection and Response)の全盛期。タニウムとしてもEDR機能を具備しているが、競合がたくさんいるところで、タニウムジャパンチームとしてどうやって戦っていくか、社内で議論したことを覚えている。議論の結果、『見えないものは守れない。社内のIT資産、脆弱性をリアルタイムに把握するサイバーハイジーンで戦っていこう』と決めた。その後、少しずつではあるが大規模環境のお客さまから評価いただき、パートナーからも同意を得て、2020年で100万エンドポイント、2022年で200万エンドポイントと少しずつ成長してきた」と、サイバーハイジーンを軸とした戦略が評価され、年々、ユーザー数を拡大していることと説明した。

 現在でも、リアルタイム性、運用負荷・コスト軽減、ガバナンスといった点が評価され、国内外で多数の導入事例も出てきているという。

Taniumによる効果の事例

 日本法人のビジネスの現状としては、従業員数は110人体制で、国内のユーザーのエンドポイント数は300万になったほか、直近4年間のサブスクリプション売上は60%のCAGR(Compound Average Growth Rate)と高い伸びを見せている。また、日本の“働きがいのある会社”調査ランキングの小規模部門で6位となった。

 「私が入社した時点では、社員は10人しかいなかった。それが110人体制まで拡大し、エンドポイント数も300万と順調に拡大している。直近4年のサブスクリプション売上は、グローバルのタニウムの中でも突出した高い数字となっている」(原田氏)。

国内ビジネスアップデート(2024)

 こうした現状を踏まえ、今年度は新規ビジネス40%成長、サポート体制2倍、日本品質という3つを軸に成長を目指していく。

 新規ビジネスについては、ターゲットユーザー層ごとに新たな営業施策を実施する。

 「これまでの当社のお客さまは、従業員数が5万人以上の、超大企業カテゴリーのお客さまがメインだった。このカテゴリーの企業の半数がタニウムのお客さまとなっている。従業員数5万人以上の企業には、引き続きタニウムの新しい価値を伝え、いわゆるアップセルによる売り上げ拡大を目指していく。一方、従業員数5万人以下で2万人以上の規模の大企業に対しては、これまでは十分にアプローチできていなかったため、大企業向け営業体制を強化していく。さらに、従業員数2万人から数千人規模の企業に対しては、当社のパートナー営業担当が、パートナーさんの営業、SEと一緒になってお客さまのところまでアプローチする体制とする。タニウムの価値をダイレクトに伝え、その場で出てくる質疑をパートナーの営業、SEにダイレクトに聞いてもらうことで、エンゲージメントの強化、行動改革を実施していく」。

 2つ目の軸であるサポート強化は、ユーザー満足度の維持と向上を目指し、実施する。

 「日本におけるお客さまの数も増加し、1000社を超える数にまで拡大してきている。この大きなお客さま基盤にとって重要となるのが、お客さまの満足度の維持と向上。中長期成長にはサポートの充実が欠かせないものと考え、サポート体制を倍増し、お客さま基盤強化につなげていく」。

 また3つめの軸である日本品質とは、日本市場に即した製品開発体制を強化することを指している。

 「昨年年リリースさせていただいたUSBの管理機能は、日本のお客さまから多くのご要望をいただき、開発・リリースさせていただいた機能。こうした取り組みが、まだまだアドホックな対応にとどまっている。今年からはこれを組織化し、仕組み化したいと考えている。すでに本社のCTOとの隔週のミーティングを開始し、これからは日本市場に即したローカリゼーションのさらなる強化、そして日本市場目指したさらなる品質の強化を実施していきたい」とした。

 こうした取り組みとともに、タニウムの利用場面が広がり、ユニークな事例も増えてきたという。

 「ある企業では、コロナ禍以降、社員食堂の食品ロス問題に悩んでいた。テレワーク導入で、社員食堂利用者数が大きく変動するが、最大人数に合わせて食品を用意していたため、廃棄が多くなっていた。この課題を、朝・昼の10時段階でのパソコンを使用している人数から換算し、用意する食事数をこのデータに合わせたところ、廃棄する食品数が大幅に減少している」。

 こうした新しい価値を生み出す、リアルタイムでのサイバーハイジーン実施といった特長を生かし、「セキュリティのその先へということで、私たちは脱セキュリティベンダーを目指す。現在、ジャパンメンバーの中で、見えないものは守れないサイバーハイジーンに次ぐメッセージング、ブランディングを考えており、順次発表することも計画している」と原田社長はアピールした。

 なお今回の発表会には、Tanium本社の最高経営責任者であるダン・ストリートマン氏が来日し、登壇した。ストリートマン氏は、「私どものXEMプラットフォームによって、組織のサイロ化を解消する。複雑さ、コスト、リスク削減につながるリアルタイムで状況を把握するプラットフォームとなっている。ご存じの通り、IT環境はますます複雑になり、組織は数えきれないほどさまざまなツールや手作業のプロセスと格闘しなければならない。しかも、頻度や巧妙さが増すサイバー脅威にも同時に対応する必要にも迫られている。タニウムが提供するプラットフォームによって、こうした課題からの解決を実現してもらいたい」とアピールした。

米Tanium 最高経営責任者 ダン・ストリートマン氏

 さらに、日本法人のパートナーであるNTTコミュニケーションズ、NEC、CTCの名前を挙げ、「パートナー企業との協業により、日本でのビジネス拡大につながった」と感謝の意向を示した。

 今後、新しい技術の投入も予定しており、「プラットフォームの高速化とAIベースの自律型エンドポイント管理機能によって、IT運用チームとセキュリティチームを単一プラットフォームで統合し、リアルタイムでインシデントに対する制御と監視を実現する」とタニウムが提供するソリューションがさらに強力となっていくと強調した。