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JFEスチールと日本IBM、IBM Watsonを活用した故障復旧支援システム「J-mAIster」を販売

 JFEスチール株式会社と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は19日、AIテクノロジー製品の「IBM Watson」を活用し、JFEスチールが自社用途に開発した、設備などの故障復旧支援システム「J-mAIster」を、国内外の顧客向けに今後共同で開発・提供するためのパートナーシップを締結し、販売活動を開始したと発表した。

 J-mAIsterは、AI技術を活用し、設備で発生した故障事象に対して、過去の故障履歴、対処履歴、各種マニュアルなどの膨大なデータから、最適なデータソースを提供するシステム。JFEスチールでは、2018年に自社の全製造ラインに導入し、各事業所の製造設備で発生したトラブルに対して、保全担当者が全社の過去事例や復旧に必要な情報を効率的に参照し、早期復旧につなげられる体制を構築している。J-mAIsterの導入により、設備トラブルの際に復旧時間の約3割削減に成功するなど成果を収めており、操業支援にも用途を拡大している。

 また、世代交代が進む製造現場においては、経験の浅い保全担当者への技能伝承が大きな課題だと説明。JFEスチールでは、AI技術を活用した検索性を有するJ-mAIsterを導入し、熟練者層の知識やノウハウを短時間で的確に取得可能としたことで、トラブルの早期復旧につながっており、加えて、JFEスチールにおいては、過去の事例から知見や対応ノウハウを学ぶ教育ツールとしても、J-mAIsterを活用しているという。

 JFEスチールは、今後、自社向けに開発したJ-mAIsterを、幅広い製造業の顧客が使用できるようにシステムを汎用化し、IBM Watsonと合わせて提供するとともに、顧客の導入に最適なシステムの構成検討、調整業務も共同で行っていくと説明。また、その実現のために必要な基盤モデルの適用について、「watsonx」の活用も含め検討していくとしている。

J-mAIsterの活用とシステム構成のイメージ