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NTT東日本、プランティオ、タニタの3社、アーバンファーミング事業の実現に向け協業

 東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、プランティオ株式会社、株式会社タニタの3社は20日、都市空間のすき間を利用して野菜などを育てる“アーバンファーミング”事業の実現に向け、協業を開始すると発表した。

 3社では今回、NTT東日本が有するICTを活用した営農支援の実績とノウハウ、通信環境の構築で培ったエンジニアリング力、プランティオの持つIoTを活用した野菜栽培の仕組みとシェアリング型の農園運用のノウハウ、タニタの健康づくりや食のノウハウを組み合わせることで、アーバンファーミングの事業化と全国展開を目指す。

 具体的には、プランターを使うことでビルの屋上や舗装地などさまざまな形態の遊休地に開設でき、IoTの活用により誰もが気軽に取り組める、都市型スマート農園の構築と検証を進める。さらにこの農園を活用し、新規就農につながる機会の創出、食農への関心人口増加や、地域経済の活性化につながる新たな体験や仕組みを創造する、新たなアーバンファーミング事業の実現を目指すとした。

 協業の第1弾としては、東京・板橋区のタニタ本社敷地内にテストフィールド「タニタふれあい農園」を開設し、2023年8月から2024年3月末までの予定で実証実験をスタートする。

テストフィールド「タニタふれあい農園」

 具体的には、プランティオが開発したIoTセンサー「grow CONNECT」を活用。内蔵する土壌温度計によって、土壌の温度の積算をモニタリングするとともに、ほかの5つのセンサーデータを肉付けし、前後1週間の天候データと対比して予測するAI技術「Crowd Farming System」と、専用アプリ「grow GO」を通じて水やり、間引きのタイミングなどの栽培アドバイスを実施する。これにより、未経験の人も含めて、誰でも手軽に野菜を栽培できるとした。なおテストフィールドでは、同アプリの評価と開発へのフィードバックを実施していく予定だ。

 またgrow GOは、農園の利用者同士がコミュニケーションできる機能も備えていることから、リアルとオンラインの両面でコミュニティに参加してもらい、楽しみながら食と農と健康づくりに気軽に触れられるようにする考え。さらに、収穫した野菜をタニタ食堂やタニタカフェのレシピを基に調理して参加者に提供したり、バーベキューパーティーを開催したりするなど、コミュニティを活性化させるさまざまなアクティビティを展開する。

 今回は、地域住民を対象に、テストフィールドとして開設した「タニタふれあい農園」におけるコミュニティやアクティビティへの参加を募り、参加者の行動態様や事業性を検証するとした。なお、同園で利用者が行うアクティビティ(水やり、土寄せ、追肥、間引きなどの農作業)は、それと意識することなくからだを動かすエクササイズになると見ており、農作物をつくる喜びや、コミュニティの仲間とつながる楽しさをフックに自然と健康づくりを促す「健康コンテンツ」となることから、健康増進のアプローチ手法として、その可能性も検証するとした。

IoTを活用し、利用者が分担して手入れをし、収穫する

 このほか、タニタふれあい農園において栽培した野菜の近隣飲食店での消費、アプリを通じた栽培活動による特典の付与、周辺地域の施設への誘客など、地域経済圏の活性化を図る仕組みづくりを検討する。利用者や導入企業のみに負担が集中することのない、持続可能な農園運営と都市部営農に貢献するモデルを目指すとしている。