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NEC、東京大学、NECプラットフォームズ、ローカル5Gを活用した移動・自律運用可能な通信ソリューションの実証機を開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(以下、東京大学、)、NECプラットフォームズ株式会社は3月31日、ローカル5Gの基地局・5Gコア・マルチアクセスエッジコンピューティング(以下、MEC)を一体化した、移動・自律運用可能な通信ソリューションの実証機を共同で開発したと発表した。

 今回の通信ソリューションの共同開発は、ローカル5Gを活用してさまざまな現場のDX化を推進するための取り組みの一環で、電源・バックホール回線の用意が難しい災害現場や山間部向けに、ローカル5Gネットワークを迅速かつ一時的に構築するソリューションとして、今後商用化を目指すとしている。

共同開発した実証機の外観
通信ソリューションのシステム構成イメージ

 実証機は、ハンドキャリーが可能な防水防塵ケース内に、ローカル5Gの通信機能とアプリケーション機能を集約。一時・臨時利用が求められる災害やメンテナンス現場において、ネットワークとアプリケーションをオンデマンドに利用でき、災害・復旧時の人命の安全確保と二次災害の発生を抑止するとともに、メンテナンス現場の業務効率化と省人化への貢献を目指す。

 装置は約90Wの低消費電力であるため、電源が確保されていない屋外エリアでも可搬バッテリーを用いて長時間利用できる。光・LTEなど、バックホール回線なしでもローカル5Gネットワークを構築でき、小型汎用サーバー単独で屋内での利用も可能。小型にもかかわらず1Wの高出力の無線アンテナを4ポート搭載し、災害・メンテナンス現場などの屋外の広域エリアにも対応する。

 同期方式に加え、上りの通信速度を向上できる準同期(TDD1/2/3)に対応することで、大容量の映像伝送が可能。ソフトウェアをベースに基地局を実装することで、容易なセットアップ・設定変更、柔軟な機能拡張ができる。

 さらに、MECを内蔵することにより、エッジで処理するアプリケーション・AIの機能を配備でき、リアルタイムな処理、インターネット回線などへの通信データ量の削減、セキュアな通信を実現できる。

 NEC、東京大学、NECプラットフォームズは今後、筐体の小型化と、実証実験を通じてAIなど用いたアプリケーションの開発を進め、アンテナや可搬バッテリーを含めてローカル5Gネットワークをさまざまな現場で構築できる通信ソリューションとして、商用化を目指すとしている。