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2022年の国内第3のプラットフォーム市場は20兆円規模、IDC Japan調査

IDC Japan株式会社は9日、国内第3のプラットフォーム市場について、2022年~2026年の市場予測を発表した。2022年の同市場の市場規模は20兆992億円、前年比成長率は7.0%を予測している。

 「第3のプラットフォーム市場」には、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術の4つの主要技術(4ピラー)から構成される技術プラットフォームと、4ピラー上に展開され事業成長を促進する技術となる「イノベーションアクセラレーター」としてIDCが定義する、AI、AR/VR、IoT、ロボティクス、3Dプリンティング、次世代セキュリティ、ブロックチェーンの7つの技術のうち、従来のICT市場に該当するハードウェア、ソフトウェア、サービス、通信サービスが含まれる。

 国内第3のプラットフォーム市場の動向については、地政学的な不確実性の高まりやインフレを契機とする経済悪化のリスクといった不安要素はあるものの、2022年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の負の影響が薄れ、レジリエンシー強化の取り組みに積極的な産業や企業が牽引する形で、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資が継続すると分析。2026年の市場規模は25兆1104億円に達し、2021年~2026年の年間平均成長率は6.0%になると予測している。

 市場の産業分野別の分析では、過去2年間、COVID-19感染拡大の影響から抑制的な投資状況だった「小売」「運輸」「個人向けサービス」において、2022年は他の産業分野に比べて前年比成長率が相対的に高くなると予測。「小売」や「個人向けサービス」では、2022年から2023年にかけて消費者の需要の回復に伴い、業績回復の道筋が整うことで、CX(Customer Experience)に重点を置いたパーソナル化施策や、オムニチャネルコマースプラットフォーム構築に向けた投資が活発化すると予測している。

 「運輸」においても、旅客輸送業者の業績の回復に伴う支出の拡大と、宅配業者を中心とする貨物輸送業者におけるサービス向上、業務効率化を目的としたテクノロジー支出が継続すると分析。他方、最も支出規模が大きい「組立製造」については、円安が好業績に結びつく事業者も多いが、今後の経済の先行きの不透明感を警戒する動きが出てくる可能性があると予測。現時点では、構造的な需要減の兆しは見られず、2022年から2023年にかけての第3のプラットフォームへの支出は堅調に拡大すると予測しているが、財務リスクへの警戒感が、今後ITやデジタル投資の優先度に与える影響については注視する必要があるとしている。

 「プロセス製造」については、GX(Green Transformation)に関わる投資が、特に予測期間の後半にかけて拡大することで、「組立製造」よりも高い成長率となる可能性があると分析。「通信」や「情報サービス」は、中長期的にも堅調な支出拡大を見込んでおり、顧客企業の相次ぐ危機への対応として活用するICTやデジタルへの需要に応えるため、第3のプラットフォームへの投資を拡大することで、今後、成長率がさらに高まる可能性があるとしている。

 IDC JapanのVerticals & Cross Technologiesのリサーチマネージャーである敷田康氏は、GXやESGに関わる国内における昨今の政府や企業の動向を受けて、「ITサプライヤーはIoTを活用した炭素会計ソリューションやESG関連のデータ管理プラットフォームなど、IT/デジタルを活用して、さまざまな形で多様な産業分野の企業のGXやESG活動を支援する機会を探るべきである」と述べている。

国内第3のプラットフォーム市場 支出額予測:2021年~2026年(出典:IDC Japan)