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富士通、食品卸売業界向けに買掛照合業務にかかる時間を効率化する「Fujitsu買掛照合AIサービス」を提供

 富士通株式会社は、食品卸売業界における買掛金の照合業務をクラウドで効率化するSaaS型AIサービス「Fujitsu買掛照合AIサービス」を提供開始した。

 Fujitsu買掛照合AIサービスは、取引先からの請求電子データと自社の買掛電子データを照合する買掛照合業務において、AIが過去の照合実績データを学習し、自動で照合結果を提示する。買掛照合業務では、両データを伝票番号などの一意な情報で結び付けられない場合があり、手作業で膨大な工数をかけて行われているが、サービスにより買掛照合業務の効率化と平準化を実現する。また、照合誤りなどの人的ミスの削減にもつながり、買掛照合スタッフの心理的負担の軽減にも貢献する。

 富士通では、食品卸売業界においては、多数の取引先と膨大な数の取引データをやり取りしているが、その取引データは取引先ごとに異なり、標準化されていないため、伝票番号などの一意な情報で結び付けられない場合があるため、長年の間、手作業での照合による人的ミスの解消や買掛照合スタッフの心理的負担の軽減が求められていたと説明。

 そこで、今回のサービス提供に先立ち、2019年から三菱食品株式会社と複雑な商習慣や明細照合ルールに基づく買掛照合スタッフの暗黙知を抽出し、過去の照合実績データを学習することで、Fujitsu買掛照合AIサービスを開発し、2020年からパイロット運用を実施してきた。その結果、三菱食品において、手作業で行っていた買掛照合業務において月約800時間の工数削減を実現したという。

 Fujitsu買掛照合AIサービスは、自然言語処理技術を用いたAIにより、商品名や届け先名を識別し、漢字とカタカナや、正式名称と略称といった違い、また、同一商品が取引先と異なる名称で登録された場合も認識でき、照合率を大幅に向上する。

自然言語処理技術の詳細

 また、複数のAIモデルとロジックを組み合わせたAIハイブリッドモデルで疎結合を実現していることで、どのような過程を経て、取引先請求電子データと自社買掛電子データを照合しているのかといった説明性の担保や、精度が下がった場合に照合過程のどこに問題があるのかといった原因調査が容易で、保守性に優れているとしている。

AIハイブリッドモデルのイメージ

 富士通によるサービス提供に加えて、先行導入している三菱食品と連携し、買掛照合スタッフによるQ/A対応など、導入サポートを実施する。

 富士通は今後も、デジタル技術と業務ノウハウを駆使し、非競争領域業務を中心とした業界共通サービスを開発・提供することで、食品卸売業界をはじめとするあらゆる業界のさらなる持続性と発展性に貢献するとしている。