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NTT Com、移動するIoT機器に求められる機能を搭載した「ネットワークエッジソリューション」を提供

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は18日、IoT機器のデータ処理高速化を実現する技術として期待されるエッジコンピューティングを、コネクティッドカーやロボットなど「移動するIoT機器」にも適応させるための基礎技術を開発したと発表した。

 NTT Comは、移動するIoT機器のユースケースに対応したエッジコンピューティングの技術開発に、2018年度から取り組んでおり、今回、基礎技術の開発が完了したことから、顧客向けにこの基礎技術を搭載した「ネットワークエッジ ソリューション」の先行提供を実施する。

 ソリューションは、移動するIoT機器が必要とする機能を、モバイルネットワークの近傍にある複数の拠点(以下、エッジ拠点)でエッジコンピューティングを実現する、ネットワークエッジ技術を活用して実現する。例えば、コネクティッドカーでは、稼働状況が一律ではなく、広域での移動が発生することに加え、走行する大量の車両から送られるセンサー情報や位置情報など、さまざまなデータを処理する必要がある。ソリューションでは、複数のエッジ拠点が協調することで、大量の接続、大量データの分散処理を実現し、コネクティッドカーへの適応を可能とする。

 また、ソリューションでは、マイクロサービスアーキテクチャを採用した個別機能を提供しているため、クラウドやオンプレミスなど、顧客の環境に合わせて必要なものを取捨選択して活用できる。

 具体的な個別機能のうち、「広域分散メッセージキューイング機能」は、IoT機器の起動や停止、通信環境の変化、広域での移動に対応したデータ通信を実現する。移動するIoT機器の通信環境の変化や広域での移動に対応するため、データバッファリングとエッジ拠点同士のデータ連携を行う。エッジ拠点でデータを一時保持し、適宜エッジ拠点同士でデータ連携を行うことで、移動するIoT機器がデータ受信可能な状態になり次第、近傍のエッジ拠点からデータを送信できる。これにより、顧客システムでIoT機器の状態管理や起動タイミングに合わせたデータ再送信が不要となる。

 「ディスパッチャ機能」は、マルチクラウド活用を容易にし、コスト削減や信頼性向上を実現する。移動するIoT機器が直接クラウドサービスと連携する場合、マルチクラウドで運用するためには、すべてのデバイスに対して認証情報や連携先などを個別に設定する必要がある。ソリューションにクラウドサービスとの連携機能を集約することで、エッジ拠点がエンドポイントのハブとなり、柔軟にデータ振り分けが可能なマルチクラウド構成をとれる。また、NTT Comのインターコネクトサービス「Flexible InterConnect」との連携により、低コストで各クラウドサービスと閉域接続ができ、よりセキュアなシステム構成をとれる。

 「通信終端・認証機能」は、mutual TLS(以下、mTLS)を用いて認証・通信の暗号化によるデータ保護を実現する。IoT機器は一般的にID/パスワードなどによるクライアントの認証が困難であるため、なりすましや中間者攻撃といったサイバー攻撃から秘匿性の高いデータを保護するには、証明書を用いてクライアント/サーバー双方の認証を行うmTLSが有効となる。ソリューションにおいては、移動するIoT機器との通信を終端するネットワークエッジがmTLSに対応することで、手軽にセキュリティ対策を行える。

 NTT Comでは、「ネットワークエッジ ソリューション」の先行提供を2022年12月から順次開始し、ソリューションを実際に事業現場で実証する顧客を募集する。実証した顧客からのフィードバックやニーズの高い機能のヒアリング結果をもとに機能拡充を行い、コネクティッドカーやロボットなど移動するIoT機器のパフォーマンスを向上させる新たなサービスとして、2023年度に本格提供する予定としている。