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OKIと仏ミプソロジー、AIモデル軽量化技術とFPGAの連携によりAI画像処理を高速化する技術を開発

 沖電気工業株式会社(以下、OKI)と株式会社OKIアイディエス(以下、OIDS)、仏Mipsology SAS(以下、ミプソロジー)の3社は17日、OKI独自のAIモデル軽量化技術「PCAS」と、ミプソロジーのFPGAによるAI処理の高速化プラットフォーム「Zebra」を連携することで、AIモデルに内在する不必要な演算を自動的に削減かつ高速化し、従来の約4倍となるAI画像処理速度60fps以上を達成する技術開発に成功したと発表した。

 さらに、同技術をOIDSとミプソロジーとの国内市場向けFPGA設計開発サービスに適用することで、高度AIを搭載したアプリケーションを短期間で提供でき、FPGA実装の自動化を実現する。これにより、AI処理を高速化するために必要なAIプログラムのFPGA実装において課題であった、専門的なスキルを持つ技術者不足や、開発時間の短縮・効率化を解決できるとしている。

FPGA化のイメージ図

 AI開発の分野では、エッジ領域における自動運転、遠隔操縦ロボット、遠隔医療、映像監視などを実現するため、処理の高速化(リアルタイム化)と消費電力の低減が求められる。高度なAIモデル(ディープラーニングモデル)は、大規模で複雑な演算処理を実行する必要があり、計算性能やメモリ使用量などに厳しい制約があるエッジデバイスに搭載するには、AIモデルの軽量化やその演算ロジックを実装するための論理回路設計など、専門的な知識を持つ技術者が必要となる。FPGAは、複雑な演算処理を並列処理し、大容量のデータを高速に処理できるデバイスだが、汎用的なCPU/GPUよりもさらに複雑な実装や専門知識が必要になることから、開発期間の長期化やコストが高くなるなどの課題がある。

 OKIが開発したPCASは、認識精度を最大限維持したまま、どのようなハードウェアにも最適なAIモデルの軽量化をする。これを、ミプソロジーのAI処理高速化プラットフォームであるZebraと組み合わせることで、AIモデルの軽量化からFPGAへ実装までを自動化することを実現した。これにより、開発期間の短期化やコスト削減が可能になる。

 AI画像処理の評価実験では、PCASによる軽量化未適用時に比べて、4倍となるアプリケーションの実用化に必要な60fps以上の処理速度を達成し、高速かつ低消費電力の効果が期待できるとしている。

 OIDSは、2020年11月にミプソロジーの国内市場向けFPGA設計開発サービスとの連携を開始している。OKIが提供する軽量化技術PCASと、ミプソロジーが提供するZebraプラットフォームにより、顧客から預かったAIプログラムを自動でFPGAへ実装することが可能になり、顧客が求める性能を短期間で実現することを目指していくと説明。また、OKIのイノベーションマネジメントシステム「Yume Pro」の取り組みの一環であるPCASの開発を通じて、SDGsに掲げられている社会課題解決型のイノベーション創出活動を推進していくとしている。

 開発した技術の内容は、11月18日から幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2022」のOKIアイディエスブースで、AIモデルを軽量化したFPGAのデモンストレーションを展示する。