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NTTドコモ、AGC、NTT Comの3社が実証実験、カメラと5Gガラスアンテナを用いて車や人の位置をリアルタイムで仮想マップに表示

 株式会社NTTドコモ、AGC株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)の3社は8日、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)と共同で、建物の窓ガラスに設置したカメラと5Gガラスアンテナを利用し、車や人の位置をリアルタイムで仮想的なマップに表示する実証実験に成功したと発表した。実験は2022年7月3日~9月8日に、トヨタ 東富士研究所内の実験場で行われている。

 近年では、道路情報を仮想マップ上に再現して安全運転の支援などに活用する取り組みが行われているが、その際、移動体をリアルタイムでマップ上に表示することが課題のひとつになっているという。そこでこの実験では、建物などのインフラからこれらの位置情報をリアルタイムかつ正確に把握し、デバイス上で可視化することで課題解決を図る試みを検証した。

 具体的には、建物の窓ガラスにカメラと5Gガラスアンテナを設置し、5G通信を介して、撮影した映像をクラウドサーバー上に送信する。その後、クラウドサーバーのAI動画解析技術を活用して移動体を判断し、それぞれの位置を高精度に把握して仮想マップ上に表示する、といった仕組みになる。今回の実験では、ガラスアンテナとしてAGCの「WAVEATTOCH」を、5G通信としてはNTTドコモの通信を、またクラウドサーバーとしてはNTTドコモのマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)サービス「docomo MEC」を、それぞれ利用した。

 その結果、カメラ撮影から車中で仮想マップを表示するまでの遅延は約0.3秒、位置情報の誤差は約30cm以下を実現。利用者は走行している車中などにおいて、さまざまな視点で仮想マップを確認でき、死角から車に近づく自転車や人を確認することに成功したという。

仮想マップのイメージ図

 なお3社によれば、GPSが届かないエリアにおいても、正確な位置情報の把握が可能な点もメリットとしており、AIで処理された画像を可視化することにより、運転する際の支援情報をインフラとしてサポート可能になるとのこと。また5Gガラスアンテナの活用で、カメラなどの設置場所の制約を低減できるとしている。