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NTTデータ、データセンターの液浸冷却システム実験で冷却エネルギーの最大97%削減を確認

 株式会社NTTデータは6日、脱炭素社会の実現を目指し、液浸冷却方式を採用したデータセンター冷却システム(以下、液浸冷却システム)を構築したと発表した。

 NTTデータでは、サーバーなどのICT機器を特殊な液体の中で直接冷却する液浸冷却方式は、従来の空気での冷却と比べて、エネルギー効率の高い次世代の方式として注目されていると説明。2030年にデータセンターのカーボンニュートラル化を達成するという同社の目標に向け、効率・運用性能の確認と商用化に向けた課題の抽出のため、2022年3月~4月にかけて、NTTデータの三鷹データセンターEASTにおいて、液浸冷却システムの実機検証を、協力企業9社とともに、実機による検証を実施した。

液浸冷却システム概要

 協力企業は、三菱重工業株式会社、HPCシステムズ株式会社、LiquidStack Holding、日比谷総合設備株式会社、デル・テクノロジーズ株式会社、シスコシステムズ合同会社、エヌビディア合同会社、インテル株式会社、スリーエムジャパン株式会社の9社。

 検証機器は、 LiquidStack製の二相式液浸冷却装置(6kVA:2台)で、模擬負荷を用いた冷却装置・冷却システムのエネルギー性能試験、ICT機器を用いた性能試験、設計・運用における課題の抽出を検証した。

 液浸冷却は、IT機器を絶縁性のある液体(フッ素系不活性液体やシリコンオイルなど)に浸すことで、効率的な冷却を図る冷却方式となる。検証では、最も冷却効果が高いと言われる、液体の沸騰による気化熱を冷却に活用する「二相式」を採用。高発熱サーバーを密に配置できるため、空気を用いる従来の方式と比較して省スペースが可能となることや、一定の温度かつ密閉された環境で運用できることで、故障率が低下すると言われているという。

二相式液浸冷却イメージ

 検証の結果、データセンターの冷却に使用するエネルギーを、従来型のデータセンターと比較して最大97%削減できること(推定PUE=1.07)や、これを実現するための運転条件の把握、サーバー機器・NW類の安定稼働が確認できたほか、メンテナンスを含めた、機器運用に関する実用面の課題抽出を完了したとしている。

 NTTデータでは、実機検証で得られた結果を踏まえて、自社データセンター内に液浸専用マシン室の構築を目標とするほか、2023年度中に社内システムへの導入を通して、早期のサービスモデル実現を図っていくと説明。また、ICT機器調達、搭載・運用設計において、液浸向けの仕様変更・改造を伴うことが課題として認識されたことを踏まえ、調達方針の整理や運用・保守体制の構築を行い、より環境負荷の小さい冷媒液の採用を図ることで、省エネルギーかつ地球にやさしいシステムサービスの実現・提供を目指すとしている。