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横河電機とNTTドコモ、5G・クラウド・AIを活用したプラントのリモート制御に成功

 横河電機株式会社と株式会社NTTドコモは30日、横河電機と奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)が共同開発した自律制御AI(アルゴリズムFactorial Kernel Dynamic Policy Programming 以下、FKDPP)をクラウド上に置き、これを使用してNTTドコモの第5世代移動通信システム(以下、5G)を介して、プラントを模したシステムのリモート制御を行う共同実証実験を行い、遠隔操作における5Gの実用に向けた有効性を確認することに成功したと発表した。

 横河電機とNTTドコモでは、近年、広域に分散する設備や遠隔地、あるいは危険場所への対応など、リモート操業の需要が高まっており、装置が自律的な調整能力や制御能力を持つことは極めて大きなメリットが期待できると説明。横河電機では、実際の化学プラントにおいて、既存の制御技術が適用できず、手動制御せざるをえない箇所を、FKDPPにより35日間連続で自動制御することに成功しており、これと低遅延、同時多数接続が可能などの特徴を持つ5Gおよびクラウドは、産業における自律化を進めるうえで中核技術となるものだとしている。

実証実験のイメージ

 実証実験では、横河電機とNTTドコモが2021年4月14日に報道発表した共同実証実験の合意に基づき、クラウドにFKDPPを搭載し、制御を検証するための装置である「三段水槽」を、5Gを介して制御できるかを検証した。目標水位を決めて、低速から高速の制御周期(どのくらいの頻度で制御を実行するか)での実験を行い、通信遅延がFKDPPによる制御に与える影響を調査した。

 実験では、特に高速の制御において5Gは4Gと比較して、1)通信遅延が小さいこと、2)目標水位に対しオーバーシュートが小さいこと、3)0.2秒程度までの制御周期に対応しうること――が確認できたと説明。これは、5Gがより良い制御を実現し、品質の安定や省エネルギーに寄与することを示しているとしている。

5G・クラウド・AIを活用した産業における自律化のイメージ

 横河電機とNTTドコモは、産業において5G活用を促進する5G-ACIA(5G Alliance for Connected Industries and Automation)に加盟しており、プラントにおける5Gの有効利用について今後も検討し、活用を促進していくと説明。また、さまざまな顧客のプラントにおいての実証も視野に、長期間稼働させた際の通信の信頼性や遅延の変化などを確認していくことで、5Gを活用したAI自律制御の実現に取り組んでいくとしている。