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日立、日立物流、日立キャピタルが協業、安全運行管理の支援サービスを提供へ

ドライバーの生体・運転データをAIで分析、運行管理や安全性向上を支援

「SSCV-Safety on Hitachi Digital Solution for Logistics」の概念図

 株式会社日立製作所、株式会社日立物流、日立キャピタル株式会社の3社は3日、日立物流が自社内で導入している、ドライバーの生体・運転データをAIで分析することで、安全運行管理をトータルサポートする「SSCV-Safety(安全運行管理)」(以下、SSCV-Safety)の外販に向け、協業を開始したと発表した。4月以降に、輸送業務向けのSaaS「SSCV-Safety on Hitachi Digital Solution for Logistics」として提供を開始する予定。
 日立物流では2016年から、ドライバーの疲労度に着目し、生体情報や運行記録などと、「ヒヤリハット」や事故との相関性の分析に着手。2017年に自社内でシステム開発を開始していた。さらに2018年には、日立や日立キャピタルグループなどとともに、「物流トラック運行管理における疲労科学に基づく事故リスク評価予測手法の開発」に向けた共同研究を実施しており、その結果から得られた知見・データを生かして分析精度を向上させ、同年より自社車両向けに「SSCV-Safety」として導入を開始している。

 その「SSCV-Safety」では、車両運行前後および運行中のドライバーの生体データ(体温、血中酸素濃度、血圧、自律神経など)や、ドライブレコーダーなどから取得した運転データ(前方車間距離、ブレーキ、加速度、運転時間など)を収集してクラウドに蓄積。AIを活用して分析結果を見える化し、帰着後に効果的な振り返りを行えるようにしているとのこと。

 一方、日立は物流分野において、AIやIoTなどのデジタル技術を活用したLumadaソリューション「Hitachi Digital Solution for Logistics」を持ち、配送計画を自動立案する「配送最適化サービス」などを提供してきた。

 今回は、両社の持つ技術・ノウハウを結集し、「Hitachi Digital Solution for Logistics」をサービス基盤に、「SSCV-Safety」の機能を実装して、国内の物流業や製造業、卸売業、小売業、バス、タクシーなど、幅広い業界における輸送業務向けにサービス化するという。

 また日立キャピタルは、サービス提供に要するデバイスの調達から設置、保守、入替までの管理と、金流にかかわるサービス料金の収受を担うとのこと。

「SSCV-Safety on Hitachi Digital Solution for Logistics」の概要

 なお日立では、テレマティクスサービスにおける顧客との協創や、プロダクト、OT、ITのノウハウ・実績を持つ強みを生かして、ドライバーに対する警告などの情報を発信するために地図データやデジタルタコグラフとの連係機能を備えるなど、より多くの運転データを収集できるドライブレコーダーを新規開発した。これを、新サービスの車載端末として適用することにより、ドライバーの安全運行のサポート強化を図る考えだ。

 さらに将来的には、「SSCV」の「Smart/業務効率化」や「Vehicle/車両管理」の各機能の実装や、日立キャピタルの請求回収機能を活用した従量課金などのオプションサービスを含めたサービス拡充を検討するとした。