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HPE、Kubernetesベースの「Container Platform」を提供開始 データプラットフォーム用途にフォーカス

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(HPE)は14日、コンテナプラットフォーム製品「HPE Container Platform」に関して、国内での提供開始を発表した。2019年12月に発表された製品で、米国では2020年3月9日に提供開始を発表している。

HPE Container Platform

データプラットフォームの統合や移行がターゲット

 HPE Container Platformは、オープンソースソフトウェア(OSS)のKubernetesをベースにしたソフトウェア製品で、オンプレミスやパブリッククラウド上などにインストールして利用できる。課金はCPUコア単位。

 特徴は、機械学習やビッグデータなどのデータプラットフォーム用途にフォーカスしている点だ。ターゲットとしては、既存Hadoopからの置き換え/統合や、複数クラウドからの移行/統合、全社共通データ基盤などを狙っているという。

 そのためにHPE Container PlatformではKubernetesに、HPEが買収した技術である、AI/機械学習向けデータ分析プラットフォームの「BlueData」や、Hadoopの「MapR」と統合している。また、ステートフルコンテナをKubernetesで管理するためのKubeDirectorにより、HadoopやRDBMSなどのデータを扱うワークロードのコンテナ移行に対応するという。

HPE Container Platformの構成。なお、Kubernetes上のワークロード自体はHPE Container Platformの基本構成には含まれない
KubernetesにBlueDataやMapRを統合

 ライセンス体系は、「HPE Container Platform」本体と、それに機械学習のMLOpsのライフサイクル管理を加えた「HPE ML Ops」の2種類がある。

 またそれぞれに、HPEのリファレンスハードウェアで動作させる「HPE Select」と、それ以外のオンプレミスやクラウドなどで動作させる「Universal」の2種類のハードウェアが用意されているとのこと。

 なおHPEのリファレンスハードウェアとしては、データ分析基盤の「HPE Apollo」と、DevOpsやCI/CDの「HPE Synergy」、エッジ分析やIoTの「HPE Edgeline」の3つが設定されている。

ライセンス体系。2種類のライセンス×2種類のハードウェア
リファレンスハードウェア。HPE Apollo、HPE Synergy、HPE Edgelineの3つ

既存資産を生かしてコンテナに移行・統合

 5月13日に開催されたオンライン記者発表会にて、HPE Container Platformの意義について、「クライアントサーバーや仮想化、クラウド、コンテナと、段階的にインフラ関連テクノロジーが移り変わってきた。これらが同時に混在する環境をいかにマネージしていくかがポイントとなる」と、HPE ハイブリッドIT事業統括 製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は説明。「競合やパートナーなどの各社が同様のアプローチを展開しているが、その中でも、BlueDataやMapRを持っている強みを発揮していく」と語った。

HPE ハイブリッドIT事業統括 製品統括本部 統括本部長 本田昌和氏

 またHPE Container Platformのメリットとして、「即座にデータ分析のアプリケーションを配備できる」ことを、同社 ハイブリッドIT事業統括 プロダクトアーキテクト統括本部 製品技術本部 ストレージソリューション部 部長代理の野瀬哲哉氏は挙げた。

 野瀬氏はコンテナ導入における課題として、自前構築、パブリッククラウド、エンジニアドKubernetesのそれぞれに課題があり、1つのソリューションがすべての要件にかなう時代ではないとして、柔軟な選択が必要とされていると主張した。

 そのうえでHPE Container Platformの特徴として、オンプレミスからクラウドまで選べる「データ処理特性に応じた柔軟な配備」、AD/LDAP統合やSAMLなどに対応したマルチテナントの「セキュリティに配慮したデータ分析基盤の統合」、BlueDataとMapRを統合してデータのサイロ化を防ぐ「強固なデータファブリック」、環境整備から学習、デプロイまで機械学習のライフサイクルを支援する「HPE ML Ops」の4つを挙げた。さらに既存の資産を活用できることを強調している。

 海外の導入事例としては、証券取引企業の例を野瀬氏は紹介した。10種類以上のHadoopクラスターが存在してサイロ化していたデータ分析基盤を統合し、コンテナで素早くHadoop基盤を展開できるようにしたという。

HPE ハイブリッドIT事業統括 プロダクトアーキテクト統括本部 製品技術本部 ストレージソリューション部 部長代理 野瀬哲哉氏
特徴1:データ処理特性に応じた柔軟な配備
特徴2:セキュリティに配慮したデータ分析基盤の統合
特徴3:強固なデータファブリック
特徴4:HPE ML Ops
海外事例。10種類のHadoopクラスターの基盤を統合して素早く展開できるように

サービスやトレーニングも提供

 また、HPE Container Platformではソフトウェアと合わせてサービスやトレーニングも提供する。特にコンテナに関する経験の少ない企業に向けてHPE Pointnext Servicesで構築運用を支援する。「HPEのサービス部隊が持つ、コンテナに関する知識や実績、最新のテクノロジーで支援する」と、同社 ハイブリッドIT事業統括 製品統括本部 製品部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏は語った。

 トレーニングについては、Linux Foundationとの協業によるKubernetesのトレーニングを8月開始することも予定。「そのほか細かいトレーニングを用意していく」(加藤氏)という。

HPE ハイブリッドIT事業統括 製品統括本部 製品部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏
サービスやトレーニングも提供