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NECと水資源機構、アユの遡上数計測システムの効果を実証

 日本電気株式会社(以下、NEC)は28日、アユの遡上数を自動計測するシステムの実証を、2019年4月から8月にかけて実施し、計測品質の均一化や計測業務の効率化の効果を確認したと発表した。

 この検証は、独立行政法人水資源機構(以下、水資源機構)と共同で、長良川河口堰にて行われたもの。

 水資源機構では、長良川河口堰の運用開始以降、河川環境保全を図りながら、より適切な運用を行うために、環境変化の調査として、河口堰の魚道を遡上するアユの稚魚の調査を、遡上が確認され始める毎年4月から6月末までの間、ほぼ毎日実施しているという。

 従来は、魚道にカメラを設置し、日の出から日没までの約12時間、録画した映像を目視で計測していたが、より効率的な計測方法を目指して、AIを用いた自動計測システムの検討・実証を行った。

 開発されたシステムでは、魚道に設置したカメラ映像をクラウド上に保管。あらかじめAIで学習させた稚魚の泳ぎ方から、アユかアユ以外かの魚種判定を実施しつつ、自動でアユの遡上数を計測した。

 その結果、天候や日照条件に左右される屋外の映像においても約94%の精度となる、計56万匹のアユがほぼリアルタイムで計測され、目視での計測と比較して、計測品質の均一化や計測業務効率化の効果を確認できたという。

 なおNECでは、魚道での計測調査を同様に実施している他施設への応用・展開を視野に、本システムの来年度の実用化を目指すとのことだ。