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国内企業向けネットワーク機器市場、無線LAN機器市場が大きく成長~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は1日、企業向けルーター、企業向けイーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器からなる、国内企業向けネットワーク機器市場の2018年実績と予測を発表した。2018年の市場規模(支出額ベース)は2374億1000万円で、前年比5.9%増と2年連続でプラス成長を達成した。

 市場の内訳では、企業向け無線LAN機器市場が2018年も大きく成長しており、アクセスポイントの出荷台数は81万台に達し、無線LANコントローラーを含めた市場規模は前年から24.8%増加した。

 IDC Japanでは、こうした成長の背景には、企業がネットワークアクセス手段として無線を第一に考える「ワイヤレスファースト」の動きが浸透してきていることにあると分析している。企業におけるモバイルデバイスの活用がいっそう進んでいることや、「働き方改革」の掛け声の下に進むオフィス環境や、働く場所の変化に応じた無線LANの導入拡大が、ワイヤレスファーストを後押ししているという。

 そのほかの分類でも、企業向けイーサネットスイッチ市場は前年比5.3%増と好調で、国内経済状況の安定に加えて、無線LAN導入拡大に伴う有線LAN環境の見直し気運の高まりや、ネットワーク自動化、可視化、セキュリティ強化に伴うLAN環境の更新機会の増加も成長を牽引したと分析している。

 今後も、ワイヤレスファーストの進展とともに、企業向け無線LAN機器市場は成長を続け、同市場の2018年~2023年の年間平均成長率は、アクセスポイントの出荷台数が4.6%、支出額ベースで2.1%と予測している。一方で、企業向けイーサネットスイッチや企業向けルーター市場は、今後成熟化が進行するため、企業向けネットワーク機器市場全体の2018年~2023年の年間平均成長率はマイナス3.5%と予測している。

 IDC Japan コミュニケーションズのグループマネージャーの草野賢一氏は、「企業向けネットワーク機器ベンダーは、ワイヤレスファーストにふさわしい無線ネットワークの実現に向け製品開発いっそう強め、有線ネットワークと同等の導入および運用における容易性の実現に努めるべきである。有線ネットワークのような『手軽』で『手間なし』と表現できるレベルにまで到達するには改良の余地は今なお多く残されている」と述べている。

国内企業向けネットワーク機器市場 支出額予測、2017年~2023年(出典:IDC Japan)