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IBM、Db2バージョン11.5を発表、AI活用に向けたサポート機能を搭載

 米IBMは4日、Db2データベースの大規模なアップデートを発表した。このアップデートにより、企業のデータベース管理プロセスにAIとデータサイエンスを組み込むことで、アプリケーションでのAI活用を容易にし、データからより多くの洞察を得られるようになるとしている。

 Db2バージョン11.5では、データサイエンス開発に向けたサポート機能を搭載。オープンソースのプログラミング言語やフレームワークに対する一連のドライバーが数多く提供され、開発者がデータの分析や、Db2を使ったアプリケーションへ機械学習モデルを組み込みやすくした。これらの強化点は、管理の手間が少なく、障害からの回復力が高いアプリケーションをより簡単に作成できるようにし、生産性も高められるよう、Db2開発者のために役立つことを目指して設計されているとしている。

 サポート対象となる言語には、Go、Ruby、Python、PHP、Java、Node.js、Sequelizeが含まれる。また、フレームワークとしてVisual Studio CodeやJupyter Notebookもサポート。これらに対する最新のドライバーとサンプルコードは、GitHubから入手できる。

 また、Db2バージョン11.5では、新しい自然言語クエリ機能のAugmented Data Explorerも搭載。開発者が、従来の検索エンジンのような感覚の体験を得られるよう設計されていおり、Db2に質問を投げると、可視化されたデータや自然言語で書かれた要約といった、理解しやすい形で結果を受け取ることができる。このツールはコンテナ化されているため展開と管理が容易で、動的なビジュアライゼーション機能も搭載。この機能により、アプリケーション開発時のデータセットの探索スピードが向上するとしている。

 加えて、IBM Cloud Private for Dataではすでに利用可能となっていた、IBMのデータ仮想化(Data Virtualization)テクノロジーの新機能も利用できるようになる。ユーザーが多様なデータソースにまたがる検索を容易に実行できるようにするテクノロジーで、これにより開発者とデータ技術者は開発作業に集中し、データ移動に伴う抽出・変換・格納(ETL)プロセスに費やされる時間を最小化できるとしている。

 さらに、Db2にはブロックチェーンに対するサポート機能も追加。この機能により、アプリケーション開発者はブロックチェーンから直接データを引き出し、そのデータを他のデータソースと組み合わせて、解析機能やダッシュボードで利用できる。

 IBMでは、Db2バージョン11.5にこれらの新要素を追加するとともに、同一のコードベースを共有する3種類のエディションにポートフォリオをシンプル化し、Db2、Db2 Standard、Db2 Advancedという形で提供することとした。

 IBM Db2は試用、あるいは開発者による利用のために無償でダウンロードできる。Db2のクライアントやサーバープラットフォームに展開するアプリケーションの設計、開発、テスト、プロトタイピングを行うために、単独の開発者が利用することを想定したエディションとなり、Db2の全機能が搭載されているが、ハードウェアに関しては一定の制限が設けられている。

 Db2 Standardは、大企業の各部門もしくは中規模企業における本番システムでの利用に向けて作られた製品。Db2 Advancedは中規模以上の企業に向けた設計となっており、分析のためのトランザクション・運用ワークロードに最適化されている。Db2 AdvancedはCPUやメモリ、ストレージに関する制限がなく、物理的なサーバーもしくは仮想のサーバーに展開することが可能。新しいライセンス体系であるIBM Hybrid Data Management Platform(HDMP)の一部として提供されることで、トランザクショナルデータベースの範疇を超えた機能に、管理者が今まで以上に容易にアクセスできるようになる。

 それぞれのエディションで同一のコードベースが共有されているため、ユーザーは無償版からStandardやAdvancedへのアップグレード・拡大を、必要に応じて容易に行えると説明。既存のDb2クライアントについては、すべてのライセンスをDb2バージョン11.5に転換できる。

 また、Db2バージョン11.5には、アップデートされた共通SQLエンジン(Common SQL Engine)が含まれており、このエンジンによりユーザーはますます多くのデータソースからデータにアクセスできるようになると説明。たとえば、ユーザーはDb2バージョン11.5では、IBM Db2 WarehouseやIBM Db2 Big SQL、IBM Integrated Analytics System、既存のIBM PureData for Analytics(Netezza)システムといった、以前からあるDb2ファミリー製品のどれからも、データにアクセスできる。また、Db2のユーザーは、OracleやTeradata、Microsoft SQL Serverや、Amazon Redshiftのような新しいクラウドデータソースにもアクセスできるとしている。