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東京海上日動とNTT Com、サプライチェーンへのセキュリティ対策提供で協業

 東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は23日、両社が保有する保険やICTサービスを融合させ、新たなワンストップセキュリティ対策ソリューションの提供に向けて協業すると発表した。両社は、6月の本ソリューション提供を目指し、検討を進めていく。

 東京海上日動では、これまでサイバーセキュリティリスク対策の保険商品を開発し、日本市場で展開してきたが、保険販売を通じて、顧客のリスク状況の把握やリスク軽減への取り組みが重要であることを確認しており、保険以外のソリューション提供を実現する体制構築が課題となっていた。

 一方、NTT Comでは、顧客が抱えるサイバーセキュリティリスクに対して、ICTインフラからアプリケーションにわたる範囲のソリューションを提供してきたが、企業間のサプライチェーンの緊密化に伴い、一企業のみならず、その取引先である企業群へのトータルな提供をさらに加速させる必要があったという。

 また、セキュリティ攻撃のターゲットとなる企業のグループ会社、業務委託先、発注先、仕入れ先などを攻撃し、それを足がかりにターゲット企業に侵入する「サプライチェーン攻撃」対しては、企業間の垣根を超えたセキュリティ対策が重要になっていると説明。「サイバーセキュリティが確保された安心・安全なデータ利活用環境を構築することで、日本のサイバーセキュリティリスクを軽減したい」という両社の方針が合致し、今回の協業に至ったとしている。

 協業によるソリューションでは、顧客のサイバーセキュリティリスクをトータルにマネジメントする統合的なサイバーリスク保険と、ICTソリューションを組み合わせることで、サプライチェーンに対するセキュリティ対策支援と、ワンストップでのセキュリティ対策支援、新たなビジネス分野におけるセキュリティ対策支援を提供する。

 サプライチェーンに対するセキュリティ対策支援としては、サプライチェーンで関連する企業群のセキュリティ対策状況を、診断ツールにより評価して見える化するとともに、対策やノウハウを共有することで、対策期間や対策費用の低減、セキュリティレベルの底上げに貢献するソリューションを提供する。

 ワンストップでのセキュリティ対策支援については、東京海上日動とNTT Comが持つサービスやソリューションを融合させることで、企業のセキュリティ対策における、セキュリティ診断、ポリシー策定・セキュリティ対策、オペレーターや機器による検知・監視、インシデント発生時のサポートや本格対応、保険・再発防止対策にいたるまでのソリューションをワンストップで提供する。

 新たなビジネス分野におけるセキュリティ対策支援については、AI/IoTやコネクテッドカーなど、今後サイバーセキュリティリスクの拡大が予測される新たなビジネス分野にもセキュリティ対策の範囲を拡大し、顧客の挑戦的な取り組みやイノベーションを、安心・安全面から支援する。

 東京海上日動では、海外セキュリティ事業者のソリューション活用や、東京海上日動リスクコンサルティング株式会社を通じたサイバーセキュリティ事業体制の強化により、ソリューションを推進していく。NTT Comは、最新のサイバーセキュリティに関するノウハウを継続的に蓄積し、ソリューションに活用していく。また、将来的には日本企業の海外進出拠点や、海外に広がるサプライチェーンの関連企業についてもグローバルベースでの支援を可能にすべく検討を進めていくとしている。