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Salesforceが日本への投資を拡大、創業者ベニオフ氏が創業20周年イベントで明言
2019年4月12日 11:36
株式会社セールスフォース・ドットコムは11日、「Salesforce創業20周年スペシャルイベント」を開催。2024年までに従業員を2000人増員し、新オフィスとして日本生命丸の内ガーデンタワーを一棟借りし、「Salesforce Tower Tokyo」として2021年下半期にオープンすると発表した。
代表取締役会長兼社長の小出伸一氏は、「日本のお客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)をサポートするために、日本での事業体制を強化する」と、日本市場でさらに事業強化していくことをアピールした。
イベントには米Salesforce.com(以下、Salesforce) 会長兼共同CEOのマーク・ベニオフ氏、IT・科学技術担当大臣 衆議院議員の平井卓也氏も登壇。平井大臣は、「Salesforceはデータセンターも国内に2カ所に置いていて、こういう外資系企業は珍しい。中小企業の応援もしてもらっているが、政府もさまざまな施策を進めるにあたり、協力をお願いしてきた。例えば懐かしいエコポイントでお世話になったし、デジタルファースト法案でも協力をお願いした。Salesforceのことは外国の企業だとはもう思っていない。日本で一緒にやっていく仲間の企業と思っている。ベニオフ氏が親日家で、日本のことをよくわかった上で日本市場に投資してくれることをありがたく思っている」と感謝のことばを述べた。
Salesforceが創業以来大切にしてきたもの
Salesforceは2019年3月8日に創業20周年を迎えた。今回のイベントはそれを記念するもので、ベニオフ氏をはじめ米本社の首脳陣が来日した。実は日本法人は、米国サンフランシスコでの創業の翌年(2000年)に誕生。海外オフィスとして最初に設立されている。
壇上に登場した小出氏は、「Salesforceは、創業してクラウドという新しいテクノロジーを世に送り出し、ITの民主化を推進してきた。現在は全世界で15万社のユーザーをもち、DXのお手伝いをしている」と話した。
そして創業以来、大切にしてきたものとして、次の4点を挙げた
トラスト
何よりも信頼を大事にしている。製品、お客様との信頼を大切なものと考える。
カスタマーサクセス
創業以来変わらずに重視しているもので、お客さまの成功があってはじめてセールスフォースの成功があると考える。
イノベーション
創業以来、常にイノベーション実現することを掲げてきた。
イコーリティ・平等
お互いを尊敬し、信頼する。重要なコアバリュー
こうした姿勢を持ちながら、日本でのこれまでの活動を振り返り、「創業の翌年日本にオフィスを開設した。インターナショナルなオフィスとしては日本が最初のものとなったが、これはマーク(ベニオフ氏)が日本を愛し、日本を重視していることのあらわれ。日本法人設立以来、日本企業のクラウド化のお手伝いをしてきた。日本の政府のイニシアチブにも数多く参加しており、テレワーク推進の際には和歌山県の白浜町にテレワークオフィスを開設している。こうした取り組みの結果、日本法人の働き方もずいぶん変わり、働きがいのある会社、大企業部門で1位になるという調査結果も出ている」と日本法人が大きな成果を上げていると説明した。
その一方で日本は、少子高齢化など経済環境に大きな課題を抱えていると指摘。
「第四次産業革命の波が押し寄せているというお話をすると、お客さまからはどんな変化があるのか?と質問を受ける。変化はいろいろと起こるが、一番大きな変化は『全てのものがつながる』ことだ。お客さま自身がどこからでも情報を得られる時代になり、まさに顧客の時代になる。企業以上にお客さまが情報を持っている時代となることで、企業は生き残りをかけてDXを加速しなければならない。このDXをサポートするために、当社は日本での事業を大幅に拡大する」と日本企業のDX推進のための事業強化を進める。
従業員数は現在1500人だが、2024年までの5年間で2000人増員し、3500人規模とする。オフィスとしては、皇居に面した和田倉濠に隣接する日本生命丸の内ガーデンタワーを一棟借りし、サンフランシスコ本社などに続く8番目の「Salesforce Tower Tokyo」として、2021年下半期に稼働させる計画とする。
小出氏は、「新オフィスは地方になるのではないか?と心配していた社員もいたようだが、和田倉濠という好立地でお客さまのDXをサポートしていく」と、今回の講演に参加していた社員に向けて呼びかけた。
クラウドベースの電子政府化を進めていく
続いて登壇した平井大臣は、「IT担当大臣とは、まさにDXを推進していくという意味がある。行政手続きの電子化が必要だが、今の日本の行政機関、地方行政をそのまま電子化しても意味はない。デジタル世界の新しい行政システムを作ることが必要だ。7000億円の調達予算があるが、私のところで一元化させてもらおうと思っている。その時、クラウドをデフォルトとするということが一点。(会場からは拍手が起こったことを受け)これは他の会場では拍手をもらえないところ」と、クラウドベースの電子政府化を進めていくと訴えた。
さらに、「各省庁がサイロのようなシステムで、データの連係ができなかったが、これからはミドルウェアまではそろえ、アプリケーションだけ独自に作ってもらう方式に変更する。古いレガシーシステムのままでは生産性が悪く、海外で負けてしまう。日本は課題先進国というのは小出社長の指摘とおり」とする。
その上で、「日本はどこにいっても、おじさんとおばさんしかいない、高齢化の先頭を走っている。しかし、高齢化の成功モデルを作ることは日本のみならず、世界にも必要なこと。世界に求められるシステムを日本が先頭として作っていけるということになる。デジタル社会になった時、高齢者も障害者もメリットを受けられるインクルーシブな社会にならなければ。一部の人だけが恩恵を受けていてはいけない」と述べ、デジタル化で日本も変わっていくべきだと話した。
そして、「Salesforceは日本の状況をわかった上で投資してくれている点がありがたい」と取り組みを評価した。
Salesforceは日本のユーザー、日本の文化を信じている
この後、壇上にあがったマーク・ベニオフ氏は、桜咲く京都経由で東京にやってきたそうで、「私は京都に行くと必ず龍安寺に行って、石庭を眺める。庭にはどこから見ても15の石が見え、石を見ながら初心に返る気持ちを持てるよう設計されているそうだ。我々は多くの日本企業のお客様を持っているが、常に15の石を見て、初心に戻る気持ちでお客さまを支援していかなければならない。最も厳しいCRM領域でナンバーワンなのは、常にそういう気持ちを持っているからだろう。Salesforceは日本のユーザー、日本の文化を信じている。私自身は社員、パートナー企業、コミュニティを信じている」とし、日本市場への信頼を強く訴えた。