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2018年のクラウド基盤サービス市場は前年比33.3%増の3200億円、矢野経済研究所調査

 株式会社矢野経済研究所は8日、国内のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の調査結果を発表した。調査は、国内クラウドベンダー(サービス提供事業者)や国内民間企業などを対象としたもので、調査期間は2018年11月~2019年3月。

 2018年の国内クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場(事業者売上高ベース)は、2017年同様に既存システムのクラウドへの移行が市場を牽引する形で堅調に推移し、前年比33.3%増の3200億円と推計。クラウド基盤サービスの利用は、年商数百億円以下の中堅・中小企業においてももはや一般的となり、ユーザー企業がパブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスなどのシステム環境を組み合わせて使い分けるハイブリッドクラウドの利用も増加基調にあるとしている。

クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場規模推移と予測(出典:矢野経済研究所)

 IoTやAIなどデジタルを活用して企業やビジネスに新しい価値を持たせる、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤としてのクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス活用については、期待されたほど大きな効果を生まず、2018年は総じてPoCが中心だったと分析。しかし、2018年下期以降、DXに関する取り組みがビジネスに実装される芽が出始めたことで、DXはPaaSの拡充とともに、2019年には本市場を成長させる大きな要因の一つになると考察している。

 こうしたことなどから、2019年の国内クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場(事業者売上高ベース)は、前年比31.3%増の4200億円に達する見通しとしている。

 今後については、ユーザー企業の基幹系システムのクラウド移行による従量(使用量)拡大なども期待されるとしている。一例としては、SAPのERP保守サポートが2025年に終了予定となるが、同ERP製品は2000社以上の企業が導入しているとみられ、中には「SAP S/4 HANA」をAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure上に構築することについて検討しているユーザー企業もいると説明。また、基幹系システムのクラウド移行事例も増加しており、今後の市場拡大要因の一つになると考えられるとしている。

 矢野経済研究所では、基幹システムはいまだオンプレミスの割合が高く、クラウド移行に伴う商談規模も大きく、クラウドベンダーにとっても市場開拓のポテンシャルが非常に高いと説明。そうしたことなどから、国内クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場(事業者売上高ベース)は、今後も高い成長を継続。2016年から2022年までの年平均成長率が29.3%で成長し、2022年には8400億円になると予測している。