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シエナ、日本での事業拡張に向けサポートを拡充
「災害の多い日本のネットワークインフラにはシエナの技術が不可欠」久米社長
2018年9月28日 06:00
通信事業者向けの光伝送装置やソフトウェア製品を手掛ける米Cienaの日本法人である日本シエナコミュニケーションズ株式会社(以下、シエナ)は27日、同社の事業戦略説明会を開催した。
代表取締役社長の久米博之氏は、Cienaの2018年度第3四半期(2018年5月~7月)におけるグローバルでの売上高は8億1880万ドルで、前年比12.3%増と成長を続けていると説明。さらに、日本での売上はグローバルでの伸びを大きく上回っており、顧客サポート拡充や事業拡大に向けて新オフィスに移転するなど、日本への対応を強化しているとした。
地域ごとの売上比率(2018年第3四半期)は、北米が60.7%、アジア太平洋が21.0%、欧州・中東・アフリカ地区が14.9%、南米が3.4%。以前は北米の比率は半分程度だったが、従来からの通信キャリアに加えて、グローバルなコンテンツプロバイダーなどでの導入が増えたことから、北米の比率が高まっているという。
同社の主力製品となる光伝送装置の「Ciena 6500」は、2004年の製品化以来、累計10万台、530社以上に採用されており、日本国内でもKDDIやNTTコミュニケーションズなどへの導入実績があり、約4000台が導入されていると説明。また、データセンター間接続プラットフォームの「Waveserver」も、接続の低コスト化と距離に関係なく利用できるシンプルな運用モデルにより、グローバルでトップシェアを獲得しているとした。
シエナの技術戦略としては、光ネットワークをインテリジェント化し、ネットワーク事業者が適応性を高められる「Adaptive Network」に向けた開発を行っていると説明。帯域面では、他社に先駆けて400Gbpsのコヒーレント光伝送を製品化しており、伝送路性能に合わせたビットレートのチューニングにより、メトロ・データセンター間では400Gbpsで300kmまでの距離に対応、海底伝送では最大200Gbpsで1万4000kmの距離に対応するなど、同じプラットフォームで柔軟に対応できるとした。
また、光コントロールプレーンによる自立型ネットワーク制御機能も特徴の一つで、光パスに障害が発生した際には自動で代替ルートを探索して、波長単位で復旧する光レストレーションが可能となる。実際に、東日本大震災の際には、Verizonの太平洋海底メッシュネットワークに5カ所のケーブル障害が発生したが、コントロールプレーン技術によるレストレーションによりサービスが自動復旧し、激甚災害時におけるコントロールプレーンの有用性が証明されたとしている。
ソフトウェア面でも、ネットワークのインテリジェントと自動化の機能を一つのソフトウェアプラットフォーム(Blue Planetソフトウェアスイート)に統合。ビッグデータ解析によるネットワーク故障予測機能や、障害発生地点を可視化するファイバ網監視機能なども高く評価されているとした。
日本法人としての事業戦略については、シエナの優位性を生かした製品の拡販とパートナーシップの拡大を図っていくとして、主要顧客である国内通信事業者の帯域追加やネットワーク拡張・高度化に対応するとともに、国内通信事業者の海外展開に合わせたアジア太平洋域内での販売・サポートを提供していくと説明。同時に、グローバルコンテンツプロバイダーの日本国内展開に向けた販売・サポートも行っていくとした。
さらに、11月にはマーケットデベロップメントやトレーニング、検証環境、ツール、アクセスなどの新たなパートナープログラムを提供することも紹介した。
また、日本においても通信インフラ維持の重要性が増加しており、シエナの長年に渡るコントロールプレーン技術の蓄積や、広域自然災害に対するネットワーク自動回復の実績など、災害の多い日本にとってシエナの技術は絶対に必要なものだとして、日本のネットワークインフラにとって必要不可欠な企業としての地位を目指すとした。
そして、日本での展開において最も重要なのはサポートの充実だとして、6月に東京・丸の内の新オフィスに移転したことを紹介。オフィススペースや検証ラボは従来の約2倍となっており、より多くの人員数収容や最新の検証ラボを備えた新オフィスにより、顧客サポートを拡充するとともに、さらなる事業拡大に備えると語った。